伝統パスタ離れが進む英国で健康志向のカラフルなパスタに注目

いま英国では色鮮やかでカラフルなパスタが食卓を飾っている。豆類を含む野菜や玄米などで作られた栄養豊かなパスタは、卵と小麦粉でできた伝統的なパスタの代替品として、健康志向の人々に注目されている。人気の背景と商品を紹介する。

豆や野菜の天然色を反映

英国では伝統的なパスタの人気が落ち込み、全粒粉を含むものやグルテンフリーのベジタリアン用パスタが売上げを伸ばしている。最近では、豆類、栄養価の高い雑穀類、野菜を材料に使ったパスタの種類が増えている。特に豆類では、ひよこ豆、レンズ豆、枝豆、黒豆を使った商品が目立つ。

ひよこ豆やレンズ豆、枝豆、黒豆、ホウレンソウなどの材料で作られたパスタは、独自の天然色が反映してカラフルだ。形や大きさもさまざまであり、レシピの幅も広がるに違いない。

このようなパスタの多くは、小麦粉と卵使用のパスタよりも食物繊維が4倍多く、炭水化物が30%少ない。カロリーや栄養効果は材料次第で異なる。小麦粉をたくさん含むパスタよりも血糖値の急激な上昇を防ぎ、食物繊維が多く、糖質の摂取を抑え、地球保護に貢献できるといった点で消費者にアピールしている。

参考サイト:
Pastas made from lentils, mung beans and carrots are suddenly popular – but do they taste any good? The Guardian(英語)

食物繊維もたっぷり

いくつかの商品を紹介する。赤レンズ豆で作ったペンネは、独特の匂いはほとんど感じない。ゆで上がりは伝統的なパスタよりも硬めである。100g中にタンパク質12.4g と食物繊維3.6gが含まれている。

赤レンズ豆のペンネ(Sainsubury)

ひよこ豆のファジルは有機栽培のひよこ豆で作られている。100g中にタンパク質20gと食物繊維8.5gが含まれている。

ひよこ豆のファジル(Napolena)

グリーンピースのファジルはグリーンピースの粉で作られている。100g中にタンパク質11gと食物繊維3.8gが含まれている。

グリーンピースのファジル(Sainsbury)

枝豆スパゲティは有機栽培の枝豆で作られている。100g中にタンパク質45.9gと食物繊維20.4gが含まれている。

枝豆スパゲティ(Explore Asian Cuisine)

グルテンフリーやダイエットに関心の高い英国人

ではなぜ、このようなパスタが増えているのだろうか?

英国では、肥満や食べ過ぎ、心血管系疾患の問題が深刻であり、健康への関心が年々高まっている。そのため、食生活を見直し本気で改善したいと願う人々が多い。また、炭水化物を減らし、体重削減を目指すダイエット法もブームとなり、伝統的パスタ離れのトレンドに拍車をかけている。

イギリスのパスタ売場

3年前には、ニンジンやズッキーニなどを使ったスパイラルパスタが流行した。これは野菜をスパイラル状に切り、パスタの代わりに食べるというものである。このように矢継ぎ早に次々と訪れたトレンドは、パスタの売上げにも反映している。英国で2009年に41万トンだったパスタの売上げは、2017年に6万トンまで減少したのだ。

現在のトレンドは、ロカボ・ダイエットをかなえるベジタリアン用パスタである。ベジタリアンやビーガンへと食生活を切り替えたり、グルテンフリーやダイエットに関心の高い英国人には、最適なパスタとして受け入れられているようだ。(フードライター ラッド順子)

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