低カロリーアイスクリームが英国で大ヒット プロテイン強化やベジタリアン用も

英国では、近年の記録的な猛暑やダイエットブームの影響で、低カロリーのアイスクリームが大ヒットしている。低カロリーに加え、そのおいしさで市場の制覇を目指すアイスクリームとはどのようなものなのか? 今回は低カロリーアイスクリームの人気の背景や人気商品を紹介する。

夏だけでなく秋冬も売上げ増

2年間連続で猛暑を記録している英国では、アイスクリームの人気が高まっている。その理由は夏の暑さだけではないようだ。近年のダイエットブームや環境保護や健康維持を理由としたベジタリアンの増加なども影響している。

英国ガーディアンによると、2017年夏の売上げは、アイスクリームブランドの「Halo Top」が約300万個を記録したと同時に、競合ブランドの「Oppo」も同様の販売数を記録。さらに「Oppo」には、秋冬における売上げの増加も指摘している。2018年度のアイスクリーム市場売上げについて、英国メトロはおよそ10億ポンドと述べている。

参考サイト:
Ultra low-calorie ice-cream is flying off the shelves – but can it really beat Ben & Jerry’s? The Guardian (英語)
The 2019 food and drink trends you need to know about  Metro News(英語)

英国で人気の低カロリーアイスクリーム(写真撮影:ラッド順子)

最近のトレンドは、低カロリーで、体によいと言われる材料を使用したアイスクリームである。セールスポイントは各社で異なる。例えば、「Oppo」の「ラズベリーニプル」は、100mlで67カロリーであり、なんといっても低カロリーが売りだ。通常のアイスクリームと比べて約70%以上もカロリーを減らした商品で、体重を気にする人には好適だ。

一般的に、低カロリーのアイスクリームは、人工甘味料やステビアを使ったり、卵白量を増やしたり、ココナッツオイルを追加するなどの手法で脂肪分を抑え、カロリーを減らしている。

低カロリーアイスクリームの人気商品は

「シーソルトキャラメル 500ml」は「Halo Top」ブランドの人気アイテム。プロテイン含有量4.2gのプロテイン強化アイスクリーム。100mlあたり68カロリー。

「シーソルトキャラメル 500ml」(写真撮影:ラッド順子)

「チョコレートクッキードウ 500ml」はアイスクリームの老舗である「Ben and Jerry’s」の低カロリーアイスクリーム。味を妥協せずにカロリー減に成功している。100ml当たり136カロリー。

「チョコレートクッキードウ 500ml」(写真撮影:ラッド順子)

「ピーナッツバタークッキー 500ml」は同じく「Ben and Jerry’s」の製品で、乳製品不使用のベジタリアン用アイスクリーム。100ml当たり229カロリー。

「ピーナッツバタークッキー 500ml」(写真撮影:ラッド順子)

「グリークスタイル フローズンヨーグルト <はちみつ味> 500ml」(Marks & Spencer)は脂質3%が特徴だ。70ml当たり101カロリー。

グリークスタイル フローズンヨーグルト(右:はちみつ味、左:バニラ味、写真撮影:ラッド順子)

若年層ほど健康志向

低カロリーアイスクリームにおける英国人の買物傾向はどうだろうか。

Harris Interactive社は、英国に住む2494人を対象としてアンケートを実施した。その中で、アイスクリームを購入する時の優先順位を尋ねた質問には、カロリーよりもフレーバーを優先すると79%が回答している。その一方で、値段を優先すると回答したのは69%であった。

また、25歳から34歳の回答者の44%は、低カロリーであれば価格が上がっても購入すると健康志向であることを示している。また、16歳から44歳の60%以上は、500mlカップの250カロリー以下であれば、一気食いすると回答している。

参考サイト:
Low cal: the new ice cream hero? | Analysis & Features | The Grocer(英語)

アイスクリーム売場(写真撮影:ラッド順子)

このような買物傾向や消費者の希望を反映すべく、各メーカーはアイスクリームの開発に努めており、低カロリーばかりでなく、ベジタリアン用アイスクリームやプロテイン強化アイスクリームといった商品も次々と登場している。

なお、低カロリーアイスクリームの値段は、通常のアイスクリームよりも100円前後高く、割引セールの対象外となることが多い。(フードライター ラッド順子)