生鮮品はプラトレー廃止、オランダのスーパーで脱プラが加速
日本では各方面で脱プラが今後の商品開発の鍵を握るトピックとして挙げられているようだが、筆者が住むオランダの飲食業界においても、プラスチックストローの廃止や、ファストフードにおける紙ストローへの移行やプラカップ廃止が進められている。PETボトルへのデポジット課金によるプラスチックリサイクル強化も含めて、パッケージの脱プラ化が国内で進んでいる。今回はオランダの生鮮品分野の脱プラについて紹介したい。
ひき肉の包装はプラ袋のみ
先日、オランダのスーパーの精肉売場で見かけた「ひき肉」はプラトレーがなかった。包装はプラスチック袋と肉の下にドリップペーパーのみ。オランダのスーパー大手 Albert Heijnは2021年9月から脱プラを進めているのだ。
Albert Heijn社の説明によれば、ひき肉の脱プラのために、新たに3つの生産ラインを設置して稼働している。ひき肉用トレーの廃止で年間約7割の脱プラを実現。一重のプラ袋とプラトレー抜きで年間約500トンの脱プラとなるそうだ。また、家庭でのプラごみも同等数減ることになり、家庭での廃棄の手間もなくなる。
青果類はプラ袋を廃止へ
Albert Heijn社ではこのほかにも、青果類に使われていたプラ袋を徐々に廃止していく方針だ。青果類の場合、プラ袋を省くことで消費期限の短命化などのリスクを負いかねないが、プラ袋なしでも袋入りと同等の品質維持を目指している。例えばオレンジはネットから外してばら売り、スナック野菜類(パプリカ、キュウリ、トマト)は従来の小バケツ容器から軽量プラ袋へ変更している。
これらのプロジェクトを進めていき、2030年には2万トンのプラスチック減を見込んでいる。
Albert Heijn社のスーパーの陳列棚では、プラバケツの使用が廃止されている。代わって、プラ袋と紙トレーコンビ包装の割合がかなり増加している。
果物売場は、ばら売りか紙パックが主流だが、プラ袋入りのリンゴ、洋ナシコンポート用の砂糖プラ容器などもまだある。
現在は、Albert Heijnに続いて大手スーパーJumboでも脱プラを開始している。今後さらに脱プラが進むであろうオランダのスーパー業界に注目している。(オランダ在住フードコンサルタント 白神三津恵)