ウクライナ産ヒマワリ油が品薄、オランダの食生活にも影響
ウクライナ情勢が悪化してからというもの、世界各地でさまざまな影響が出ている。筆者が住むオランダからウクライナは「たったの2000kmほどしか離れていない場所」での出来事であり、実際にいろいろな影響を受けている。今回はその中でもヒマワリ油をめぐる現状について紹介したい。
ヒマワリ油の需要が高いオランダ
欧州内への原料輸出国として知られるウクライナ。特にヒマワリ油の輸出は有名で、世界市場の40%を占めると聞く。EU(欧州連合)主要国への輸出を多く行っているようで、中でもオランダはウクライナ産のヒマワリ油買い付けナンバーワン国だという。2010年から買い付けが伸びており、昨年度の買い付け高は約6億5000万ユーロ弱。これは、ウクライナにおける生産高の約15%を占めており、オランダ国内総数の約85%を占めるそうだ。オランダに続く輸入国がスペインやイタリア、ドイツとなっている。
オランダ人の大好物フライドポテトにも欠かせぬヒマワリ油
オランダオリジナルの料理に使う脂はバター。オランダ人の大好物であるフライドポテトはパーム油と植物油の混合物が多い。植物油は菜種油、大豆、ヒマワリ油などが主要だ。これら植物油の中でも、ヒマワリ油の人気は高い。
ヒマワリ油の使い方は実に多岐にわたっており、マヨネーズ、ベビーフード、マーガリン、クッキー類、代替肉、ソース類、スナック類などに使用されている。日常的にスーパーなどで目にするものばかりだ。加えて一般的なオランダの家庭における利用はドレッシングなどのソース類や揚げ物用だろう。
店頭で購入制限も
そして、忘れてならないことがある。オランダは他の欧州諸国と同じく移民が多く、中近東にルーツのある人たちの食卓においてはヒマワリ油は必需品であり、中近東の食事を提供する飲食店においても不可欠な材料と聞く。また、日本人を含めアジア諸国からの人たちも頻繁に使用する機会があるのではないだろうか。
2月下旬のウクライナへの攻撃開始から、ずっと品薄が続いているヒマワリ油。現在、店頭での購入は一人1本のみと制限がつられている。ヒマワリはそろそろ種付けの時期だが、今年の種付けは厳しいだろう。今年の収穫が期待できないとあって、品薄もしくは欠品の長期化が予想され、同時に物価の上昇は避けられないだろう。(オランダ在住フードコンサルタント 白神三津恵)