飲料ボトル課金がオランダで加速 環境課題の解決へ

11月に英国グラスゴーで行われた「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)」など、年々高まる環境問題への関心と危機感は、日本の皆さんも感じておられるのではなかろうか。今回は筆者が住むオランダで新たに取り組みが始まった“PETペットボトル課金”についてご紹介する。

牛乳瓶に課金で洗浄費に

まずは当地オランダにおける飲料購入時のボトルのへの課金システムがどのような経過で始まったかをご紹介する。ボトル課金の歴史は古く、牛乳やヨーグルトなどを瓶に詰めて販売し始めた時代にさかのぼる。当時、瓶の洗浄にかかる経費と労働への対価として生まれたのが、ボトルへの課金システムだ。

1980年代には瓶の維持費が課金額を超えたため、容器のプラスチック化が進み、瓶類(ビール瓶を除く)への課金は廃止された。かわってPETボトルへの課金が始まった。このペットボトルへの課金も、時代とともに何度も見直されており、7月1日から新たな決まりを取り入れ始めた。

ラベルのボトルマークが課金の目印

PETボトル課金に中小サイズも追加

オランダにおいて6月末までのPETボトルへの課金対象は1リットル以上の大サイズのみであった。具体的には、購入時に店頭表示されている本体料金とは別にかかる課金分が自動で加算され25セント支払う。飲み終わったら、空ボトルを購入店舗もしくは取扱店舗へ持ち込めば、課金分は返金される仕組みである。ビール瓶に関しては、小瓶(10セント)、大瓶(20セント)、ケース小(1ダース75セント)、ケース大(2ダース1ユーロ50セント)であった。

以前は対象外だった、500mlボトル。写真左は改善前で写真右は改善後

ここに7月から加わったのが、中小サイズのPETボトルである。具体的な金額は1リットル以下のPETボトルは、統一金額(10セント)となっている。

また、2023年1月1日から缶飲料の購入時にも課金が開始することがまっている。缶飲料への課金は15セントとなっている。ただし現行の法律だと酒類(ビール除く)、ジュース、乳製品およびシロップは課金対象外となる。

プライベートブランドにも課金が適用されている

街中のゴミ減少効果

システム導入にかかる経費や返品されたボトル類の置き場所などと、企業にとっては課題も増えるシステムではあるが、何といっても第一目的は「エコ」である。課金がなければ空瓶を野外に放置する人たちも、課金が始まるとキチンと返品するようになるのだから、これは使わない手はない。

2023年の缶飲料への課金が始まれば、この光景も見られなくなるはず

中小サイズのPETボトルへの課金開始から半年ほど経つが、確かに街中や森、観光地の駐車場などでのゴミが減っているのは事実だ。(オランダ在住フードコンサルタント 白神三津恵)

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