きな粉特集

◆きな粉特集:健康・美容素材で人気 「きな粉プラスα」が市場拡大の鍵に

農産加工 2020.11.18 12148号 08面

 近年のきな粉市場は、TVをはじめとしたメディア露出が家庭用製品の売上げに大きく影響している。健康・美容をテーマにした番組で取り上げられた際は特に反響が大きい。季節のもちやだんごなどにかける食べ方から、健康・美容素材として習慣的にきな粉を食べる消費者が増えている。最近のトレンドでは、ごまやナッツ、プロテインなどが入ったブレンドきな粉のニーズが高まっている。(三井伶子)

 きな粉は、大豆をいって皮をむき、ひいた粉である。粉にすることで消化が良くなり、大豆の栄養素を効率的に摂取できる。タンパク質や食物繊維のほかカルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、鉄などのミネラルが多く含まれている。

 19年2月放送のTV番組で、アンチエイジングに有効な食材の一つとして「きな粉」を取り上げるなど、各メディアが機能性を訴求し、市場は大幅に拡大した。業務用はきな粉を使用した商品の増加に伴い、引き合いは好調だ。大手製菓・製パンメーカーやアイスメーカーが、きな粉を使った菓子やアイス、パンなどを発売し、今後も堅調な市場が続くと予想される。

 20年の市場動向について、家庭用は巣ごもり需要の影響で一時的な販売増が見られたものの、6月以降は消費が冷え込み、各社前年並みもしくは前年割れの状況だ。業務用については外食店舗の休業、外国人観光客の減少による観光産業の衰退などが響き、前年比4割減のメーカーもある。

 家庭用はメディアに取り上げられたことによるベースアップはあるが、今まで購入していなかった層に需要をいかに広げていくかがポイントとなる。定期的にメディアで取り上げていくことで、購入の継続性を促すことも重要と思われる。

 高齢者層にユーザーが多いため、若い世代がユーザーになる商品の発売や、使用機会を作ることも課題となっている。SNSなどを通じて若年層にきな粉への親近感を持たせたり、ごまやもち麦、プロテインに続く「きな粉プラスα」の可能性を見いだすことも市場拡大の鍵といえそうだ。

 子どもの時からきな粉を食べる習慣を構築し、家庭により近い存在の商品にしていかなければ、将来的にきな粉の消費が低迷する可能性もある。子育て世帯の家庭できな粉を食べる機会を増やし、生活に取り入れることを推進していく必要があるだろう。

 市場の見通しについて、健康志向や内食需要で今後も堅調な伸びが期待できそうだ。近年、健康素材として大豆が注目され、国産大豆の原料確保が重要な要素になってくると思われる。今後は生産者との直接取引も含め、さまざまな連携が必要になってきそうだ。

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