健康関連食品特集

健康関連食品特集:特定保健用食品(トクホ) 19年市場規模、7年連続6000億円超え

総合 2020.05.18 12052号 07面

●通年での価値訴求が必須

日本健康・栄養食品協会によると、19年度の特定保健用食品(トクホ)市場は前年比約0.9%増の6493億円となり、7年連続6000億円台をキープした。18年に大幅な2桁減を強いられた清涼飲料が同5%増と巻き返し、乳製品もほぼ前年並みを堅持。販売チャネルではスーパー・CVS・ドラッグストアがいずれも堅調に推移した。20年は新型コロナ感染拡大の影響で不透明な状況だが、現在までは堅調に推移。ただし、夏以降は下振れ予測も強く、通年での価値訴求が必須となるだろう。

1991年に制度が発足したトクホ市場は、国が健康強調表示を許可・承認する独自の制度として誕生。国際的にも注目された中、国内の健康志向の高まりに伴い、99年に市場規模で2000億円を突破すると、2年後の01年には倍増となる4000億円に到達した。その後もサントリー「黒烏龍茶」などのメガヒット商品が誕生したことや、トクホそのものに対する認知度や支持が拡大したことなどもあり、ピーク時の07年には約6800億円にまで成長した。11年には東日本震災により5000億円強に落ち込んだが、13年からは毎年6000億円台を維持している。

近年では15年から17年までの3年間、連続して07年に続く史上2番目の市場規模を記録。健康食品の代名詞として高い認知度を誇る同分野だが、スーパー・CVS・ドラッグストアなどの手売り市場に加え、通販分野でも需要を拡大させている。

19年は、18年に続き機能性表示食品の品目数が大きく増加。カニバリも見られたが、小売・メーカーサイドからの継続提案や価値訴求、情報発信が機能し、特に全体の86%強を占める清涼飲料・乳製品では販売サイドでも必須商材に位置付けられ、通年で需要に対応した。菓子などの加工食品や調味料も構成比上のボリュームは少ないが、一定の需要を確保している。

販売チャネルでの構成比は依然、スーパーとCVSで全体の約6割強を占める。最大チャネルのスーパーは19年、過去最大となる2842億円(前年比0.7%増)に成長。売場がほぼ確立され、新型コロナ拡大前の東京五輪開催予定を背景とする健康・生活習慣病予防志向に対応した。CVSは2年連続で減少となったが、17年以降3年連続で1100億円台をキープ。ドラッグストア・薬局もほぼ前年並みの400億円台と堅調だ。

保健用途別の構成比は、依然「整腸」が19年も59.5%(同0.5%増)と最大規模。15年から増加を続け、3400億円を超える巨大ジャンル・乳酸菌を主軸に、オリゴ糖・食物繊維がニーズに対応する。「中性脂肪・体脂肪」(構成比24.4%)も依然ボリュームゾーンで、19年は前年比4.2%増の1582億円に拡大。スポーツ志向が背景にあると考えられ、五輪開催を翌年に控える20年も価値訴求が求められる。そのほか、「コレステロール」「血糖値」は大きく減少、「血圧」「歯・肌」は堅調、「骨・ミネラル」は大きく増加している。

20年の市場動向だが、5月中旬現在、各分野では通年での価値訴求を取る動きが濃厚。商品そのものの価値に加え、運動や健康経営、外出自粛下での生活習慣病予防などとリンクさせた価値訴求が予想される。ヘビーユーザーの囲い込みは依然順調に進むと思われるが、通常商品比で高価格帯の商品が主流なだけに、これらの取組みがトライアルやエントリーを含めた消費にいかに直結できるかがカギを握りそうだ。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

  • 健康関連食品特集

    健康関連食品特集

    総合

     健康関連食品は19年も成長を持続、食を通じた健康促進に貢献している。6年目を迎える機能性表示食品は拡大を続け、特定保健用食品(トクホ)・栄養機能食品と合わせ、制度型健康食品として多様な健康ニーズに対応。高齢化に加え、健 […]

    詳細 >