健康関連食品特集
健康関連食品特集:機能性表示食品 2600億円に到達、届出登録2887件に
●有力シリーズ、目立つリニューアル
発足6年目を迎える機能性表示食品は19年、メーカー出荷ベースで2600億円(本紙推定)に到達した。届出登録数も2887件に到達(4月30日現在・撤退含む)、約1年間で4割以上増加した。既存の有力ブランド・シリーズの機能性表示食品へのリニューアルや新商品投入などが通年で需要を喚起、特にサプリメントと飲料では定番化が続いた。
機能性表示食品は、特定保健用食品(トクホ)と比較して売場は完全構築には至っていないが、参入企業は依然増加傾向にある。初年度となった15年こそ模索状態が続いたが、目玉だった生鮮分野で登録商品が誕生したことに加え、缶詰・冷凍食品などトクホにはない分野での商品化などもあり、17年夏には届出登録数が1000を突破した。初年度450億円の市場規模は16年に1300億円にまで拡大し、17年は1750億円にまで成長。18年も食品・サプリメントともに着実に拡大し、2000億円を突破すると、19年も2桁成長を継続させている。
土台となる「機能性表示食品制度」は15年4月、アベノミクスでの成長戦略の目玉の一つとして始動。栄養機能食品・トクホに続く保健機能表示制度に位置付けられるが、多額の費用や厳格な審査が必要となるトクホとは異なり、科学的根拠(研究結果や論文など)を“自己責任”の基に示すことで申請することが可能で、消費者庁で受理されればパッケージ上で機能性を明記することができる。
有力ブランドの機能性表示商品化は、19年もさらに加速。「お~いお茶 濃い茶」(伊藤園)に代表されるビックブランドが仲間入りし、話題を喚起した。また、当初の課題であった受理スピードの遅さは、システムの見直しや人員増強、データベース化などで改善。17年からの登録品数の劇的な増加は参入企業の増加とシステム改善によるところが大きく20年中には4000品目到達も視野に入る。
また、目玉とされていた生鮮分野での商品化も順調に増加。モヤシやトマトなどの野菜やミカンやバナナなどの果物が主軸だが、海産物や肉類でも登録商品が実現。缶詰や冷凍食品など時短分野でも登録商品が生まれるなど、裾野は拡大している。
一方でトクホと比べた場合、全般的に認知度が低いことや、売場構築が発展途上にあるなどの課題もある。制度の根幹にある「自己責任」に対する考え方も生活者サイドでは未だ認識不足が否めず、今後啓蒙(けいもう)していく必要がある。広告の虚偽誇大問題や関与成分表示システムの認識不足などは業界・行政が一体となり啓発すべきといえるだろう。