なめ茸・山菜加工特集

◆なめ茸・山菜加工特集:「ご飯のお供」から脱却 用途拡大で新価値創造目指す

農産加工 2020.06.24 12069号 05面
さまざまなアレンジレシピに親子で挑戦する長野興農「なめ茸をめぐる親子工場見学ツアー」の料理教室(18年8月)

さまざまなアレンジレシピに親子で挑戦する長野興農「なめ茸をめぐる親子工場見学ツアー」の料理教室(18年8月)

ナガノトマトが展開するボトルタイプのなめ茸。3月に家庭用新サイズ(写真(右)と(中))を投入し市場定着の加速を狙う

ナガノトマトが展開するボトルタイプのなめ茸。3月に家庭用新サイズ(写真(右)と(中))を投入し市場定着の加速を狙う

「ご飯のお供」の定番、なめ茸。値頃な価格帯、ストック需要に応える保存性などを強みに半世紀以上、家庭の食卓を中心に親しまれている。食の多様化や「コメ離れ」で消費基盤は軟弱になっているが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う内食化の強まりで引き合いが強まるなど、潜在需要は健在だ。ただ、製造コストや物流費が軒並み上昇する一方で小売側の低価格要求は根強く、市場では廉価な中国産製品がシェアを伸長。普及、拡大の推進力だった「安さ」に、収益改善や高付加価値化を阻まれている。こうした中、メーカー各社はなめ茸の新しい価値づくりに取り組んでいる。目指すのは、「ご飯のお供」から踏み出す用途の拡張だ。(長野支局長=西澤貴寛)

●視覚と味覚で新ユーザー開拓へ 定着進むボトルタイプ

「エノキ茸を醤油で煮たなめ茸は、キノコの風味を生かしたシンプルな味付けで、和洋中、さまざまメニューで楽しんでもらえる。使いやすく進化させることで、消費シーンを広げていきたい」。14年秋からプラスチック製ソフトボトル容器のなめ茸を展開するナガノトマトの井垣孝夫社長は、用途拡大への意欲を示す。

一般的ななめ茸は、独特な形状の偏平型ガラス瓶容器でメーカー各社が展開。「なめ茸といえば、まずこの形を思い浮かべる消費者は多い」(井垣社長)など、この容姿は市場認知の原動力になっている半面、「ご飯のお供」「特売品」といった固定観念を抱かせる要因にもなっている。

ケチャップなどと同じ形のボトルタイプなめ茸は、「これがなめ茸?」といった驚きをユーザーの視覚にまずは訴え、続けて味覚や使い勝手で捉えてもらうコンセプト。従来のイメージから脱却を図ることで新規ユーザーの開拓を狙っている。

使用時にスプーンなどが不要なボトル容器は、ハンドリングが良く、「あえ物やソースなど、いろいろな用途をユーザーに想定してもらいやすい」(井垣社長)。瓶詰と比べてカビが発生しにくい衛生面、冷蔵庫のドアポケットに入れやすい収納性、ガラス瓶より破棄しやすいことなども利点。軽量で破損しにくいことから、“コロナ自粛”で市場拡大が加速する宅配・ECチャネル、海外輸出などへの親和性も高く、今後の展開強化も視野に入れる。

3月には家庭用「なめ茸ボトル入り」シリーズの一部に、小ぶりな210gタイプを投入。容量は60g、容器は天地で48mm、それぞれ抑えた設計で、スーパーの店頭などで聞かれた陳列のしづらさの解消、収納性の向上を図った。今後はフレーバー展開の拡大なども視野に入れ、市場定着の加速に向けて「未導入店へのアプローチ、トライアル層の開拓を進める」方針だ。

他メーカーも、用途拡大を消費活性化策の1丁目1番地に挙げる。長野興農は「いかに料理と密着させた提案、レシピ開発ができるかが鍵」(営業部)。フレーバー系を中心に、「食べる調味料」でアプローチを強める考えだ。

同社は、毎年8月に「なめ茸をめぐる親子工場見学ツアー」を開催。夏休みの小学生親子らを対象に、なめ茸などを使ったアレンジメニューの料理教室を開き、「かなりの数のレシピが揃ってきた。一般ユーザーへの発信も考えていきたい」。今年はコロナ禍の収束が見通せないため、開催するかどうか不透明だが、「次世代ユーザーを捉える方策を練っていきたい」構えだ。

○中国産に再シフト ボトル価格が課題

なめ茸は、エノキ茸の固形分60%が中心のいわゆる「普及品」と、固形分80%が一般的な「JAS特選品」に大きく分けられる。普及品の価格はスタンダードな瓶詰120gで税別100円前後、特選品は170~180gで250~270円で推移。

ただ、市場構成比率が高いPB製品を中心に、3年ほど前から廉価な中国産製品へのシフトが再び強まり、ボリュームゾーンは下振れが続いている。

なめ茸市場では、極端な低価格路線でシェア2位を占めていた小松食品が15年9月に倒産。

これを機に適正価格への見直しムードが強まり、多くのメーカーが16年春ごろからNB製品で5~10%の値上げを行った。が、PB製品に価格を抑え込まれる格好で、実勢価格は思うように伸びていない。

また、小松食品の脱落で市場に開いた約20万ケースの穴は大きく、製造・供給体制が限られる中、急きょ輸入で埋めざるを得なかったことが、中国産再シフトを招いた格好。「小松の穴は結局、同じような低価格の商品でしか埋まらない」(テーブルランド営業部)のが実情だ。

また、期待のボトルタイプの実勢価格は、家庭用270gタイプで400円弱。同量換算で一般的な普及品より1.8倍ほど高く、「スーパーの、いわゆる『300円の壁』をどう超えていくか」(ナガノトマト営業部)が鍵だ。今春投入した210gタイプの実勢価格は330円前後。今後、製造効率の改善をさらに進め、価格を抑えていきたいとしている。

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