無洗米を広めた東洋ライスが国連で発表 「日本米の持続可能なアプローチ」テーマに

報告する雜賀東洋ライス社長

報告する雜賀東洋ライス社長

東洋ライスはスイス・ジュネーブの国際連合欧州本部で開催された「第8回国連ビジネスと人権フォーラム」で11月27日(現地時間)に約20人が参加したランチセッションで「Japanese Rice A Sustainable Approach」(日本米の持続可能なアプローチ)をテーマに雑賀慶二社長が発表を行った。日本初、先進国初となる。

9日に東京都千代田区の東京會舘で報告会を行い、雑賀社長はこれからについて「生きていくためには元気でなくてはいけない。国の医療費も減らさなくてはいけない。そのためにも、今の取組みをもっと広げていきたい」と抱負を述べた。

新しい試みとして日本で初めてSDGsへの貢献度をブルーナンバー財団(ニューヨークに本部を置くNPO法人)が開発する「SDGスコアカード」で「見える化」したことも特徴で、スコアの指標となる約50問に農業協同組合など団体11件、コメ生産者205人と生産者を巻き込んで「見える化」を図った。BG米の取組みはSDGs17項目のうち14項目が重なっている。

報告する雜賀東洋ライス社長

国連会場では「食に循環があるとは知らなかった。すばらしい取組み」と評価されたほか、「もっと早く世界にアピールすべきだった」という意見も上がったとし、雑賀社長は、「当社1社の発表にとどまらず、日本企業のこれからに向けた意義深い機会となった」と、日本企業の取組みを世界にアピールする先鞭(せんべん)になったと手応えを得ていた。

岡田美穂ブルーナンバー財団エグゼクティブディレクターは「生産者に光を当てたいと活動をしている。東洋ライスは生産者を含むバリューチェーン全体で取り組んでいる。これからは消費者のスコアも入れていくことを考えている」と、今後も東洋ライスと一緒にプロジェクトを進化、成熟させていく考えである。

同社は、1976年にコメのとぎ汁による環境汚染を防ぐ研究を開始し、1991年にBG無洗米が完成。汚染物質削減の実績が評価されて2018年に環境省から「エコ・ファースト企業」認定された。

それを受けて、全国各地の36社のBG無洗米製造企業を中心にコメ生産者や消費者まで、約200社を超える企業・団体などで構成されるBG無洗米コンソーシアムを構成し、第1回無洗米サミットを開催して「無洗米宣言」という形でSDGsへの貢献を内外に宣言した。

東洋ライスの循環型農業(産業)事業は、生産者、米穀業者、消費者など関係者がBG米を生産・購買・使用することで、コメのとぎ汁による環境汚染を無くす、BG米製造時の副産物ヌカを「米の精」に変え、農家は肥料にして健康によい作物を生産、消費者はそれを購入して食べることで病気治癒や予防効果を得ることができ、農家は収入が増えるというものである。

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