からし特集

からし特集:家庭用=“巣ごもり”需要増で伸長 練りからし、おでん向けに期待

調味 2020.10.21 12134号 06面

 からし関連の家庭用市場の練りからしは8月までの1年間で前年比2.9%増と伸長した。3~8月までの半年間では同12.2%増、6~8月までの3ヵ月間では同6.8%増となり、新型コロナウイルスの発生以降、巣ごもり需要の拡大に伴い家庭用の練りからしは伸長した。一方でからし粉は8月までの1年間で同4.3%減、半年間で同8.1%減と減少傾向が続いている。

 エスビー食品の家庭用からしは19年度でチューブタイプが同1.8%増、からし粉が同1.3%減。9月までの半年間をみると、チューブタイプ、からし粉ともに大きく伸びた。ハウス食品の家庭用からしは19年度でチューブタイプが同15%増、からし粉が同1%減。チューブタイプはコロナ発生以降、同20%増と大幅に増加している。新型コロナウイルスの発生以降、家庭内食化が大きく進んだことで他の製品同様にからしも大きく拡大した。

 マスタード類はエスビー食品の「マイユ」が19年度は前年並みで推移したが、9月までの半年では大きく伸長している。またナイキフーズの「フランス産粒入マスタード」などが6月から高質スーパーで採用されるなど新たな動きも見られる。

 今後については、これから本格的な需要期を迎えるおでんの動きが、家庭用市場のさらなる成長に向けて鍵を握ることとなりそうだ。これまで、おでんはコンビニエンスストア(CVS)のカウンターでの販売が年々拡大し家庭でおでんを調理する機会は減少してきた。しかし昨年末以降、CVSで人手不足と食品ロスの問題でカウンターおでんの販売縮小の動きが広がっていると報じられた。また今年はコロナ禍で飛沫防止のついたてやカップおでんの販売などで対策しているものの、さらに苦戦する恐れがある。このため、家庭内でおでんを調理する機会が増えることは間違いない状況だといえる。これにより、家庭用のからし製品の今冬は、さらに伸長していく可能性が高い。

 これまで家庭用からし製品は、マスタードが市場をけん引し、からし類は安定傾向にあった。家庭内食化の長期化は家庭用のからし全体に好影響を与えつつある。減少が続いた家庭用のからし粉も、4月からのエスビー食品の出荷額が伸長するなどこれまでにない動きが見られる。これまでは調理の時短や簡便さが求められてきたが、今後しばらくはより本格的な調理を求める消費者のニーズをとらえることが新たな市場開拓につながる可能性は高い。

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