トップインタビュー:日本KFC社長・大川原毅氏
――大河原会長は草創の日本ケンタッキー・フライド・チキンの店長からスタートして社長歴一四年、まさに外食産業の成長とともに今日まで歩んでこられましたが、外食産業の魅力は何ですか。
大河原 一番の魅力は、負がないことです。社員のため、社会のため、お客様のために熱心に努力できる。たとえば、原子力、製薬などは自分が一生懸命取り組んでも世間の半分は反対だったりする。外食は食品添加物でもゴミでも、環境でもまず、安心・安全を大前提に考える。そして、食べて“おいしい”ということは人間を幸福にします。だからわれわれの仕事はハッピネスプロデューサーだと思っています。
――JFは5月9日の大河原さんが新会長に就任した総会で「外食産業界の有機等農産物に関する基準策定の考え方について」の提言を打ち出しましたね。
大河原 高まる健康・安全志向を背景に、外食産業が求める「おいしくて安全な農産物」の品質および土壌の評価方法・基準などをまとめたものです。おいしくて安全な農産物は有機農産物が農産物市場の数パーセントといわれる日本の現状ではリスクが多すぎて安定供給が難しい。良い農産物づくりにJFが農業者とともに取り組んでいくという表明でもあります。
それに、官庁が定める有機農産物のあり方と実際に外食産業として利用するわれわれとでは見解が若干異なります。農水省の三年間まったく肥料を使わないというガイドラインは無理があります。
人間も風邪をひくときもある。ツベルクリン反応も必要。どうしても使わなくてはいけないものは使い、正直に申請する。これを、ゼロとするからごまかしが出てくる。また、有機なら何でも良いかというと、栄養があっておいしくなくてはいけない。
また、有機に欠かせない良いたい肥を作るには豚、牛、鶏の屎尿がいる。この流通にわれわれは協力します。農水省にはファンドを使おうと提言しているところです。
JFとしては、この分野が非常に大事であることから新委員会として農業問題等検討委員会を新設、すかいらーく会長横川竟氏に委員長に就任していただき、活動していきます。
――国内産食材供給を強化しようということですね。
大河原 そうとばかりはいえません。日本には冬があるので、日本だけで通年の有機野菜の提供は不可能です。そこで、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどの有機野菜をどう日本農業と結合させていくかという課題もあります。
アメリカの外食産業界の団体であるNRAが積極的に協力してくれていまして、大使館を通じて農水省でセミナーを開催しようという動きもあります。
外食産業は、通年の食材を安定的に供給しなくてはいけないという難しさがあります。
――有機野菜の良しあしの見分け方はありますか。
大河原 私は農産地に行ったら朝、必ず6時に起きて畑を見ます。冬の2月、霜柱の中に手を入れると手がスーと入る。近くにはたい肥がムンムン蒸気をあげている。畑は正直です。
多くの有機栽培現地見学会は実が成っているところを見に行きますが、耕す前の畑の良しあしを見るのが一番です。
――話が前後しますが、JFの八代目会長に就任しての抱負をお聞かせください。
大河原 JFは正・賛助会員社七三一社、店舗数は約四万四〇〇〇店舗、正会員の総売上げは約四兆五〇〇〇億円にのぼります。先輩方が外食産業界を代表する一団体として、税金を主体にした国の経費を期待せずに“自由競争”を旨とし、二九兆円産業に牽引してきました。
これからわれわれは外食産業として国や社会、農家に何ができるかを考え、実行していくことが課題と思っています。また、たとえばコシヒカリ、タイ米、普通のコメが米価で一律なのはおかしい。おかしいことをおかしいと正論をいえる団体でありたいと思っています。
今回の新人事では副会長にもそうそうたる方々にお引き受けしていただき、いい意味の緊張感があります。
また、7月22日にはJFの事務所がJR浜松町駅前に移転しました。長年の構想であった数ヵ所に分散していたJF関係団体事務所が一ヵ所に統合、外食産業の情報発信基地としてここから二一世紀への提言を行っていきたいと思います。
バブルが弾けて外食産業の伸び率は横ばいといわれていますが、外食への投資意欲、雇用の創出力は大変大きく、完全な自由競争市場のため、一番ベンチャーに近い産業です。
若者の農業離れは顕著ですが、学卒がいったんJF会員会社に就職して、その中から農業に着手しようという人は多いですし、高齢化社会に向けても、雇用機会は多く、あらゆる面で二一世紀の社会に活気をもたらすことができると思っています。
――ありがとうございました。
昭和18年生まれ、神奈川県出身。昨年5月からはJF田沼文蔵会長の会長代行を勤めてきた。セールスマンでKFCにセールスに行って逆に口説かれて社員になってしまったという「ミイラ取りがミイラになった」標本でもある。
奥様とのご縁もセールスと聞く。ベンチャーを地で行く“行動派”の大きな体躯に業界のニューリーダーとして大きな期待が寄せられている。(文責・福島)














