地酒と料理のおいしい店 「居酒屋 北海道西新宿店」

1997.09.15 135号 6面

新宿アイランドタワー四四階に天井から床までの高さ五三m、ドーム型吹き抜けの居酒屋として話題を呼んでいる「北海道」。かつて栄えたニシン御殿を模した大胆な造りと、使い込まれた生活用品を配した店内は、郷愁を感じさせると同時に落ち着いた雰囲気を醸す。

当初、客層を三〇代中心の比較的高めの年齢層に置いたが、結果として若い二〇、三〇代が主となっている。

「朝焼けの中、漁を終えた漁師がくつろぎながら一杯やる光景をイメージした」(平成フードサービス高橋朋子広報担当)という店内。同じ一仕事を終えた後の一杯でも、OL、ビジネスマンにとっては、どちらかといえば「夕焼けに見られているようです」。

店内はオープン当初、四五〇席のうち一四〇席をついたてで仕切り、個室風に使っていたが、個室の需要が高いため、隣接のホールが空いたのを機に二五〇席を増設、一〇席ずつふすまで仕切れるようにしてある。

「個室の収益性は決して高くはないが、個室要望に対応し今後も半々ぐらいのスペースは割くつもり」という。

「北海道」を冠するだけに、PBの「北海道」をはじめ村おこし的な北海道各地の地酒、また全国各地の銘酒を三五銘柄ほどそろえる。

雪氷室で布袋に吊り下げ絞った酒「雪氷室一夜雫」など珍しい地酒をそろえるが、「どうしても名の知れた酒に人気が集中する」という。もっと地酒に親しんでもらうにはまず内からと、昨年は蔵元で「店長の酒蔵研修」を実施。また今年も二番手の研修を予定しており、「酒を介してのコミュニケーションができれば」と期待する。

扱う食材は「生産者の顔がはっきりし、安心して食べられるもの」をモットーとする。メニューやサラダバーには、生産者の顔写真と野菜を紹介、また、産地の流通マップを添えたりし、客にアピールしている。

ここに至るにも、食材提供者との信頼関係を結ぶため、双方の並々ならぬ努力を重ねてきた経緯がある。

例えばウニひとつをとってみても、品物がさばけず提供者から打ち切り話が出たこともあったが、今では、北海道ウニ部会との契約も成立し、安定供給をえている。

今年8月には長野県の林間地を開墾した四haの自社農場をオープンさせる。「従業員を研修生として送り込み、実際の農作業を通して野菜を理解させよう」という試みだが、将来的には北海道では輸送コストのかかる根菜類を姉妹店の「濱町」二〇店舗、「北海道」九店舗全店に供給しようという構想。安全野菜への取り組みも半端ではない。

◆「居酒屋北海道西新宿店」(東京都新宿区西新宿六-五-一、新宿アイランドタワー44F、電話03・5323・2190)=営業時間午後4時30分~11時、予算三九〇〇円

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