「ここだけの業界ネタ」専門店化で居酒屋が変わる

1999.07.19 182号 18面

居酒屋の専門店化が始まった。大手チェーンに代表されるようなこれまでの居酒屋は、メニューも雰囲気も似たり寄ったりで、安さと気軽に利用できる点では、ファミリーレストランのようなものだろう。料理もセントラルキッチンで一括調理したものを店で温めるだけというのでは、お客に飽きられてくる。

こうした店にはすでに学生のような客層しか足を運ばない。もっとおいしいものを食べたいというニーズの高まりは、居酒屋業界に新しいスタイルの居酒屋を産み出している。

早野商事が経営する「とり屋一億」(本店=千葉市)は、鶏料理に特化したメニュー戦略で、既存の居酒屋と差別化を図っている。六〇坪規模の店で月商は約一六〇〇万円。メニューは鶏が主力だが、豆腐やその日お薦めの刺身など、旬を意識した品ぞろえにも気を配っている。

鶏は自前で仕入れ、仕込みまですべて手作り。地鶏を使って、とり鍋や唐揚げなど付加価値の高い料理を提供し、手間のかかる焼き鶏などの比率は逆に下げている。結果的に素材の良さと手作り感をお客にアピールするのに成功している。

鶏という素材に限らず、魚や餃子であったりと、専門性を高めることで、「鶏が食べたい」「魚が食べたい」という目的客にうまくマッチし、お客を引きつけている居酒屋が増えている。

食に対するニーズが成熟し、個人の選択肢も多様になっている。グルメ番組が引きも切らず、情報は豊富にあり、お客は「おいしい物をちゃんとした店で食べたい」という欲求がある一方、「価格は手ごろで」と考えている。

専門店化する居酒屋は、客単価が四〇〇〇~五〇〇〇円と多少高めだが、専門店に比べればリーズナブルな点が支持を得ている。

今後の注目株は、すしやそばに特化した居酒屋。ファミリー層も取り込んで、居酒屋は今後、どんどん進化する。ファミリーレストランなどを席巻するほどの勢いになるだろう。

(榊芳生)

次ぎなるヒット天ぷら屋

とんかつがブームだ。惣菜業界は成長市場と呼ばれるが、不況のあおりを受けていることに変わりない。その中にあってひとり気を吐いているのがとんかつだ。惣菜に限らない。外食でもとんかつ屋が当たっている。

私は一〇年前から「ブームが来るからとんかつをやりなさい」と言ってきた。日本の外食は、肉を主役にしないとヒットしない。ステーキ、焼き肉、ハンバーガー、残されたものはとんかつしかない。

惣菜では、揚げ物の中でとんかつの単価が一番高い。つまりこれをヒットさせれば売上げは間違いなく上がる。コロッケではだめだ。

そうやって意識的に仕掛けた結果、とんかつを扱うスーパーとそうでないスーパーでは明らかに売上げに大きな差がついている。

日本で一番とんかつを売っているのはヨークベニマルで、七二店舗で一日約一万五〇〇〇枚を販売している。

では、次のブームの予想は何か。外食の場合、天ぷらだ。天ぷらをメーンにした和食屋がはやるだろう。

いまの天ぷら専門店は、雰囲気が根暗であか抜けない。職人さんが黙々と箸を使い、高い金額を取る。そうではなく、高級なものをリーズナブルに価格破壊することが必須条件だ。

天ぷらは、まだ日本では高級料理の部類に属し、しかも単品で商売ができる。女性にアンケートを取ると、食べたいものとしてトップに出てくるのが天ぷらだった。本格的な江戸前の天ぷらが食べたいと言う。これは非常にビジネスチャンスがあると思う。いわば天ぷら屋の大衆化だが、提供の仕方やパフォーマンスがポイントになるだろう。

店の真ん中にしつらえた金の鍋の前で、職人が勢いよく声をかけて揚げる。形状もさまざまに旬のお薦めなど女性好みの盛りつけで、夢や楽しさを演出する。

店は大型化しファミリー層も利用できるようにする。しかしあくまでも品を落とさず、女性が喜ぶような明るくエレガントな雰囲気が大切だ。

天ぷら屋というこれまでのマイナーな世界から、明るいメジャーな世界に切り替えた時、爆発的なブームが来るだろう。(林廣美)

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