「鮮度」について考える

2001.04.16 226号 3面

お母さんは、晩ご飯の買い物の時、鮮度の良い食材を欲しがります。皆さん方は「鮮度」をどのように理解していますか? 鮮度は、ただの「新しいモノ」をいうのではありません。鮮度は、新鮮の意味に、「採りたて、獲りたて、漁りたて、熟成したて、製造したて、調理したて、加工したて、その他のとりたて」などを含みます。要するに、鮮度とは、一言でいえば「活きの良さ」という言葉であらわします。では、鮮度をどのように理解するか、皆さんといっしょに考えていくことにしましょう。

◆理化学・細菌学・そして官能学

鮮度は、「活きの良さ」という意味ですから、この鮮度の観かたを三つの方向から経時的変化で考えます。

一つ目は、「理化学的鮮度」といい、鮮度を化学的に分析し「とりたて」後の時間的変化を観察します。

例えば、小生が利用している理化学的方法は、揮発性塩基窒素(VBN)、K値、HxR比、Hx比およびビタミンCなど食品からを定量します。そして、その食品が、手元に来た検品までの履歴を考察するわけです。

この理化学的方法の中で、小生が気に入っているのは「ATPの分解物質」をみることです。すなわち、K値、Hxr比、Hx比のことなのです。詳細はあとで述べることにします。

二つ目は、「細菌学的鮮度」といい、一般生菌数が食品一g当たり10の何乗ですか? が重要な細菌学的鮮度ポイントになります。

食品衛生法の成分規格や地方自冶体の指導基準などを参考にしたり、食品の初発菌数を確認したりして、各企業における商品特性を配慮した独自性の自主基準を作成することです。

生食用の食材、野菜、加工食品、調理食品などの特性を理解して細菌学的鮮度を判断しましょう。この検査に簡易法は使えませんので注意しましょう。

三つ目は「官能学的鮮度」といい、ヒトが持っている視覚、味覚、嗅覚、触覚、聴覚の「五感」を利用した感覚的判断を科学的に考察したものです。

この官能検査は、経験が非常に有効な訓練になります。ぜひ、良い師匠について訓練してください。師の選択をミスると意味の無い経験ではなく、マイナスに作用することになります。師の選択をくれぐれも間違わないようにすることです。

官能検査は、他の鮮度基準と補正しながら訓練し、おいしさの現場的判断基準を確立しましょう。特に、今後のHACCPシステムの導入時において、官能学的鮮度は、現場における食材検品時の鮮度判定に欠かせない知識となります。

◆「K値」の把握がカギに

将来、必要となる理化学的検査法の「K値=ケイチ」について、若干詳しく説明します。

「K値」とは、ATP(アデノシン3リン酸)の分解物質の総和に対するHxRとHxの比率です。K値を式にすると別掲の通りです。なお、アデノシン3リン酸は核酸物質で細胞のミトコンドリアで作られるエネルギー源であり、マグロの筋肉中に約一mg/kg存在しています。

理化学的鮮度のK値あるいはATP分解物質の判定をまとめますと、次の通りになります。

「K値の一般的判断基準」

1・ ~20%  生食可能

2・21~40%  焼き物用

3・41~60%  煮物用

4・61%~   廃棄する

しかし、K値は生マグロなどには適用できない。生マグロは最初からK値が焼き物用レベルにあります。また、K値を使えない食材もたくさんあることを理解しておきましょう。だからこそ、「鮮度」判定は、三方向から眺めてみないといけないわけなのです。

いつも、鮮度を官能、理化学および細菌学的にみて、総合的に評価してみましょう。それが、皆さんの役に立つ「鮮度」の考え方なのです。

最後に、鮮度判定をまとめてみます。

1・判断するには、3チャンネルで商品を観る(見る、視る、ではない)。

2・官能検査は、必ず対象物を常温にしてから実行する。

3・生食用食品素材は、疑問を感じたら使用しない、加熱調理用とする。

4・K値の知識は、覚えると調理師としての格が上がる。

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