サラダ特集 共通のキーワードは“ヘルシー” 続々新タイプ登場で人気上昇

1995.06.19 78号 10面

サラダの存在が見直されている。料理の主菜といえば蛋白質を多く含む肉・魚が占め、野菜の類は副菜の域を出ることはなかった。しかし、昨今のヘルシー志向から野菜の扱いが変わって来た。当然にレストラン、居酒屋でも、客のニーズに対応し、野菜料理の典型ともいえるサラダメニューの見直しを始めている。従来は、葉っぱにドレッシング=サラダとされていたものが、ドレッシングのバラエティー化により、和風・洋風・中華風サラダと幅を広げた。同時に、野菜一辺倒ではなく、主菜であった肉・魚介類をも抱き込み、組み合わせが楽しめるボリュームある一品料理もメニュー化させている。添え物だったサラダが、内容の充実した新しいタイプのサラダに変わりつつある今、ドレッシングとともにメーカが提案するメニューと、使い手のユーザー側の人気メニューを並列させ、これからのサラダがどう展開するか探ってみた。

コース料理、セットメニューの添え物的存在だったサラダが、内容を充実させ、一品でも十分メーン料理になるほどになった。

野菜をメーンに置きながらも、生野菜にただドレッシングをかけるだけでも、野菜の種類を豊富に取り合わせたり、ドレッシングもスパイスを効かせて、素材とマッチングさせ、バリエーション豊かにしている。

素材も野菜だけでなく、肉類、魚介類と合わせたり、麺類、ごはん類との取り合わせも見られる。

「誰でも簡単に作れるのがサラダ。素材とドレッシングのハーモニーで微妙な味が出せるサラダ。素材がシンプルなだけに一番難しい。サラダで納得するものが出せたら、シェフとしても一人前」(東京ベイヒルトン関端克之シェフ)といわせるほど奥深いをサラダだ。

「葉ものの扱い方一つで、料理のバリエーション、新しいメニューの広がりを見せる」(オテル・ドゥ・ミクニ三國清三オーナーシェフ)として、葉もの野菜の効用を説く。

これからも、野菜の魅力で付加価値をつけ、メニューにバリエーションを持たせる傾向はますます強まりそう。

キユーピーは、この3月にうま味を残した低オイルタイプ三種を発売することで、全アイテム二七品とした。

売れ筋トップは、和風醤油ごま入り、続いてフレンチドレッシング白、一〇〇〇アイランドドレッシング、中華ドレッシングの順である。

現在、ノンオイルドレッシングの占める割合は約七%だが、今後の伸びを二ケタと予想するほど、ヘルシー志向の高まりはますます強まると見る。合わせて塩分控えめ、カロリーの低いメニューや、目先を変えた温野菜サラダ、麺サラダを新メニューとして積極的に提案している。

理研ビタミンは、海藻ワカメ普及のため、油分が多いと食感が悪いとして専用調味料のノンオイルドレッシングを開発した。

発売後、市販用の後追いながら伸び率は市販用を越えるほどだ。

売れ筋トップはノンオイル青じそで五割を占め、二位に棒々鶏ローオイル、次いで和風ごまローオイル、青じそクリーミーとなる。青じそクリーミーは発売後半年で二倍強の伸びだ。

メニューの提案も、健康志向のワカメを考えると同時に、麺類との組合わせでボリュームアップされたものを押し出している。

その他メーカーのミツカン酢、ヤマサ醤油は、ともに和風醤油味を生かしたドレッシングに人気があり、ヤマサ醤油のあえもの専科は、和風サラダとしてあえものが見直され、思わぬ人気を得ている。今後も“日本のサラダ、こんな使い方があるョ”をキーワードにメニュー提案していくという。

ケンコーマヨネーズも和風あえ物的な春雨サラダの人気は定着しており、オリジナル商品のごぼうサラダもドレッシングあわせ味と全体に和風味に人気が高い。

夏に向けては、チルドドレッシングシーフードわさび、和風、棒々鶏で肉、魚介類を取り込んだメニューを提案している。

「健康・ヘルシー」をキーワードに野菜の調達、サラダメニューの見直しをしている。

すかいらーくグループは、他に先駆けて数年前から農家との契約栽培による有機野菜作りを行いメニュー化を進めている。

モスフードサービスは水耕栽培による有機野菜を実験中で、今秋にはトマト、レタスを直営店でメニューに導入する予定だ。

また、ロイヤルホストはサラダの提供の仕方を替えたり、ボリュームアップにより、サラダメニューのいっそうの差別化を図っている。

いずれも健康・安全を柱にこだわりの食材でのメニュー化だ。

居酒屋業態でサラダが目立ち始めたのはチェーン店が台頭し始めてからだ。チェーン業態の女性集客を狙ったメニュー戦略として登場、業態全体に定着したが、最近はそのサラダをより特化しようとする動きが目立つ。

女性が居酒屋を利用するのは、もはや当たり前になっている。したがって集客を目的とする見せかけだけでなく、来店した客をいかに満足させるか、またリピーターにつなげるかを前提にした本格的なメニュー開発を強いられている。

総じて、居酒屋には定食でない食事が求められている。キーワードは多品種少量と本物志向。一品一品の質を研ぎ澄ます傾向のなかで、サラダもその流れに乗っている。

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