宅配サービスの注目株(6)ピザトレンドの双璧ピザーラとピザハット、みみの革新で支持拡大
キャンペーン商戦で激しい競合を演じている宅配ピザ市場だが、メニュートレンドの指標は「ピザーラ」(551店)と「ピザハット」(354店)の2強に絞られてきた感がある。両社とも「クラストエッジ(みみ)をおいしくする」というコンセプトで、ファン層を新たに広げ、客単価アップにも成功している。宅配ピザのメニュー革新をリードする双璧のヒットシリーズを紹介する。
◆(株)フォーシーズ「ピザーラ」 チーズフォンデュの臨場感
「ピザーラ」は、昨年3月に「とろ~りチーズピザ」をキャンペーン発売し、別添えの“後かけ(つけ)チーズ”が大ヒットした。定番化してからも売上げ構成比10~15%をキープし、稼ぎ頭に仲間入りしている。
「チーズフォンデュのシズル感をイメージして開発しました」(大坪靖之商品開発部長)という同商品は、スクエアクラストのピザにディップタイプのオリジナルチーズソースを別添えセットしたもの。チーズをピザにかけるもよし、ピザをチーズにつけてもよしと、食べ方は自由自在。トッピングと別添えのチーズ総量は、通常のピザの倍以上という大盤振る舞いだ。
「宅配ピザの基本ニーズは、やはりチーズ。チーズのボリュームとチーズの臨場感を追求した結果、“後かけ(つけ)”に至りました」と大坪部長。
チーズのボリューム感を重視した背景には、イタリアーナシリーズの大ヒットがある。5年前に登場したイタリアーナは、“みみの上までたっぷりチーズ”をキャッチコピーに、クラストエッジにまでチーズをかけたタイプ。従来の1.5倍のチーズが決め手となり、看板商品に定着。現在も売上げの3割を占める人気ぶりだという。
「(株)フォーシーズ」 所在地=東京都港区南青山5-12-4全菓連ビル5階、電話03・3409・4400
◆日本ケンタッキー・フライド・チキン(株)「ピザハット」 熟練の集大成で“みみ”までおいしく
「ピザハット」は2006年の暮れ、クラストエッジをフィンガースナックに仕立てた「チージーロール」を発売。既存店売上げが軒並み2割前後アップするという、空前の大ヒットを記録し、矢継ぎ早に「ソーセージロール」「ダブルロール」「エビぷりマヨロール」を打ち出した。“ロール系”という愛称も定着し、わずか1年でオーダー構成比3割(全店平均)に達する人気シリーズと化している。
「海外のピザハットでも“みみ”の工夫がメニュー開発の主流となっています」と小川泰弘マネージャー。「生地の実力を味わえるのが、“みみ”の魅力なのですが、“みみ”だけ残されるケースも少なくない。これは世界共通ですね」という。
ピザハットは、“みみ”にチーズを詰め込んだ「チーズクラスト」(1996年)、チーズクラストの“みみ”にチェダーチーズをトッピングした「ゴールデンチーズクラスト」(2001年)、“みみ”にソーセージを詰め込んだ「ソーセージクラスト」(2003年)を独自開発し、着実に業績を底上げしてきた経験を持つ。今回のロール系も、その延長線上にある。
「“みみまでおいしく”はピザハットの代名詞となりました。ロール系は、チーズクラストから始まったオペレーションの積み重ね、いわば店舗の集大成です。簡単にはまねできないでしょう」と、小川マネージャーは自信を見せる。
今後もロール系を柱にキャンペーン商品を続々と打ち出す見込みだ。
「日本ケンタッキー・フライド・チキン(株)」 所在地=東京都渋谷区恵比寿南1-15-1JT恵比寿南ビル、電話03・3719・0231