3月3日。今日はひな祭り
3月3日はひな祭り。近年では祝いのためにちらし寿司を食べることが多くなった。
戦後に普及したちらし寿司
戦後は一般家庭でもちらしずしが普及。ちらしずしは握りずしのような専門技術なしに、はなやかなごちそうが作れ、ひな祭りなどハレの日のメニューとして人気が高い。
ちらしずしを、簡便に作れるように開発された商品が、すしの素。パイオニア商品は1963年に発売されたタマノイ酢の粉末寿司酢「すしのこ」。世界で初めて食酢の粉末化に成功し、温かいご飯に混ぜるだけでバラツキ無く、簡単にすし飯ができ、具材の調理が自由にできる、いわばすし酢の粉末タイプだ。発売以後、根強いリビーターに支えられ、2013年には発売50周年を迎えた。現在は世界的なすし人気によって海外展開も進んでいる。
具材入りすしの素は1977年4月に桃屋からびん入りの「五目ずしのたね」、同年10月に永谷園から「すし太郎」が発売されたのがはじまり。桃屋は、具材を入れた缶詰や粉末酢のみの商品が主流だった市場で「本格的な手作りの味」にこだわって商品を開発。大きなカットサイズの7 種の具材を用いた商品内容は高級感があり、家庭で手作りする味わいに仕上げた。1つのびんにすし酢と具を別々に入れるというアイデアも独自のもの。発売と同時に売り上げを伸ばし、 全国のスーバーやCVSなど売場の定番商品となった。 永谷園は、1976年当時、小学生の食べたいメニューの上位にすしがランクインした、アンケート調査の結果をもとに開発。初のウェット商品の開発にさまざまな苦労があったが、1人前ごとに調味酢と具材をパック、液状で冷えたご飯でも調理可能、ふりかけ用の海苔を別添という革新的な設計を実現。印象的な商品名とCM人気もあって、おいしくて簡単調理な商品と爆発的な人気を得た。 2品の発売によって、多くの家庭でハレの日をはじめ、普段の食事や弁当などにも多く使われるようになり、今日に至っている。最需要期は、3月3日の「ひな祭り」商戦。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:吉岡勇樹))