6月8日。今日は果物の日
毎月8日は全国柑橘宣伝協議会と落葉果実宣伝協議会が制定した果物の日。8とおやつの語呂合わせに由来する。
果物にも期待できる薬膳効果
中国は医食同源の考えをもつ国であることをしみじみと感じさせてくれるものに、家庭でつくるスープがある。材料をとろ火で数時間かけてゆっくりと煮出していくのである。これは単なる家庭料理ではなく、身体に滋養を与えたり、余計なものの排出を促したりして体調を調えるためのスープとして意識的につくる、いってみれば、家庭の薬膳だ。こうしてコトコト火にかけてつくるスープは「老火湯(láo huó tang)」と呼ばれる。ちなみに、煮込まず、具材に火が通れば出来上がるスープは「菜湯(cai tang)」という。
果物を使った老火湯で真っ先に思い出すの は、「パパイヤ(熟していないもの)と白キクラゲとスペアリブのスープ(木瓜銀耳排骨湯:mü guā yin èr pái gà tang)」だ。空気が乾燥する季節によくつくられる。パパイヤやキクラゲは体内の潤いを促し、ノドの健康を保ち、美肌に効果があるとされる。
このように果物にも薬膳的効果のあるものがたくさんある。リンゴは食欲の促進、消化の助長、下痢止めなどに、ナシは解熱、 去痰、鎮咳、血圧降下などに、ブドウは滋養、 補血などに、龍眼は滋養、健脳などに効果があるとされる。また木の実のナツメは滋養、補血などに。松の実は強壮、美肌などに。クコの実は肝機能を高め、血圧降下やコレステロールの軽減、視力の回復など広くアンチエイジングに。杏仁は美容、咳止めなどに効果があるといわれる。中国の人は、どの季節に、どんな食材を組み合わせるとよいか、家庭教育のたまものというか、しっかり頭に入っていて、日常的に健康管理を行なっているのである。
(日本食糧新聞社『見てたのしい読んでおいしい 中国料理食材事典』藤木守(編集部にて一部表現を変更))