メニュートレンド:あんなし鯛焼き あんこは嫌いでもたい焼きは食べたい 「鯛焼きみたか」

2009.12.07 366号 02面
焼き方のコツは、「強火で素早く」。「あん入り」と「あんなし」で焼き方に差はないという。表面はパリッとしているのに、中はしっとりモチモチ。ほんのりと醤油味がきいており、かむほどに甘さが増していく

焼き方のコツは、「強火で素早く」。「あん入り」と「あんなし」で焼き方に差はないという。表面はパリッとしているのに、中はしっとりモチモチ。ほんのりと醤油味がきいており、かむほどに甘さが増していく

皮と同様にあんこの評判も高い。特に鮮度にこだわっており、北海道産のアヅキを毎日店内の釜で8時間かけて炊き上げている

皮と同様にあんこの評判も高い。特に鮮度にこだわっており、北海道産のアヅキを毎日店内の釜で8時間かけて炊き上げている

「尻尾の先まであんこが入っているかどうか」が論じられることが多いたい焼き。今やあんことは限らなくなったたい焼きの中身だが、「中身の量と人気は比例する」と考えるのが一般的だ。ところがその常識をくつがえすたい焼きが、兵庫県明石市の「鯛焼きみたか」から登場。中身がない、つまりは皮だけの「あんなし鯛焼き」だ。意表をつくこのたい焼きが、ちょっとした話題を集めている。

「鯛焼きみたか」のメニューに「あんなし(皮だけ)」の文字が登場したのは、2009年5月。2年ほど前、近くの小学生から「あんこは嫌いやけどたい焼きは食べたい。おっちゃんとこのおいしい皮で、あんこ抜きのたい焼きをつくって」と言われ、頼まれたときだけ焼いていたのが始まりだ。やがて、その小学生から友だちへ、さらには近所の人たちへと口コミが広がり、同じようにあんこが苦手な人、皮が好きな人、珍しいから一度食べてみようという人などがちょくちょく訪れては、「あんなし」を注文するようになった。そこで、メニュー化に踏み切ったというわけだ。

すると、「あんこは少しで十分」「血糖値や体重が気になる」人たちから、今度は「あんこ半分」のリクエストが……。こうして「あん入り」「あんこ半分」「あんなし」の3種類が揃った。

「鯛焼きみたか」の皮は、表面のせんべいのようなパリパリ感と中のモチモチ感が特徴。卵アレルギーの人にも食べてほしいと、卵を一切使わずにおいしい皮をつくる研究を重ねた成果だ。粉の配合は、薄力粉と強力粉が約半々。生地に醤油と水あめを混ぜ込むことで、卵なしの淡泊さを補うと同時に、おいしそうな焼き色を演出している。

「卵を使わなければ、サルモネラ菌の心配がなく、日持ちもします。アレルギー対応がそもそもの目的でしたが、結果的に安全面でもメリットがありました」(店主の内橋透さん)

「あんなし」をメニューに加えて以来、マスコミなどにも取り上げられるようなり、来客数が増加。「あん入り」が1匹110円であるのに対し、「あんなし」50円、「あんこ半分」80円という潔い価格のつけ方も好感度を上げている。

現在、たい焼き全体の1日あたりの販売数は冬場で約500匹、年間を通すと300~400匹。そのうち「あんなし」は、「せいぜい20~30匹ですが、宣伝効果という意味では数字をはるかに超える貢献をしてくれています」。

バターやジャムを付ける、ハムやコロッケを挟む、カレーやグラタンを詰めるなど、「あんなし鯛焼き」の食べ方は人それぞれ。あんこの好き嫌いに関係なく、新しいたい焼きの楽しみ方としてどこまで広がるか、興味が膨らむところだ。

◆「鯛焼きみたか」

店舗所在地=明石市鍛冶屋町5-35 電話090・6233・6443/開業=2007年/営業時間=午前10時半~午後6時半(材料がなくなり次第終了)/休日=月曜/坪数=約5坪/スタッフ=1人

◆愛用資材・食材:水あめ

「鯛焼きみたか」の「あんなし鯛焼き」が話題を呼んでいるのは、皮そのもののおいしさがあってこそ。その皮づくりに欠かせない食材の一つが「水あめ」だ。本文でも紹介したように、この店のたい焼きには卵が一切使われていない。ケーキやパンでも、卵を使わないと味や焼き色がどうしても淡泊になってしまう。しかしこの店のたい焼きの皮は、卵が入っていないとは思えないコクと、こんがりとした焼き色を実現している。そのカギを握っているのが、生地に混ぜ込む水あめなのである。

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