食品メーカー開発奮闘記(3) 理研ビタミン 天然資源活用に腐心
理研ビタミン㈱は、わが国の理化学分野の基礎を築いた「理化学研究所」の技術を継承して、昭和24年に天然ビタミンAを主力商品として発足した会社。
その後、ビタミンA製造で培った技術「分子蒸留法」により品質改良剤「モノグリセライド」の製造を開始し、それぞれの分野でわが国のトップシェアを占めるに至った。また、同社の企業姿勢、ポリシーとしては創業以来一貫して天然資源のもつ素晴らしさを認識、これの有効利用をベースに、人々の健康を意識した商品開発に努めているなど数多い食品企業・メーカーのなかにあっては、まさに異色、ユニーク企業でもある。
外食産業の各飲食店においての人手不足と、それによる人件費のアップなどに対応するため、昭和54年に商品化した中華がらスープの素「味天上」(缶入り)、さらには大ヒットした「ふえるわかめ花ざいく」(カール状乾燥カットわかめ)など、同社の主力の業務用製品についてもしかりだ。特に、がらスープについては、缶詰がらスープ類では生がらとの全面代替は品質上難しいという声がラーメン専門店と中華飯店筋で指摘され、追い炊きの使用にとどまっていたが、最近では生がらからとるスープの状況が従来にも増して厳しくなるなどから、外食各ユーザー筋からは生がらから煮出ししている中華の素汁(がらスープ)を、全面代替できるメーカーへの要望が年々高まっているという。
「畜殺した骨のエキスをその日のうちに抽出するシステムの確立、これは技術的なレベルでも非常に高いものが要求されます。この面では当社のがらスープ(缶入り)については、天然エキスの抽出技術、いわば創業以来のノウハウが生かされた商品だと自負しています」と食品開発部の中山和美氏も自信のほどを語る。
「がらスープ」については、豚と鶏の混合タイプのポーク&チキンタイプはラーメンのがらスープとして、チキンタイプは高級中華スープや一品料理の素材として一般的に利用されている。
また、昭和41年に生ワカメの製造法を確立して「わかめちゃん」の商標で本格生産を開始、生でありながら保存がきく点が評価され生ワカメブームを呼び、これをベースに“カール状乾燥わかめ製造法”(特許)を開発、この技術によって「ふえるわかめ・花ざいく」を業務用に開発発売、一大ヒットとなったのは記憶に新しい。
外食・業務用商品は商品化とともにその育成が市販用とは違い難しいといわれているなかで、缶入りからさらに冷凍ガラパック・洋風コーンスープと、新しい商材で業務用へ一層の拡大を図ってきているだけに、今後、この分野での動向が注目される。
《会社メモ》 ▽理研ビタミン㈱‐本社・東京都千代田区三崎町二‐九‐一八。℡03・5275・5111
▽代表者‐増根博
▽業務用食品主要製品‐海藻類、和風調味料、即席スープ、洋風調味料、中華調味料など。