8月2日。今日はカレーうどんの日
8月2日はカレーうどんの日。かつて6月2日が「横浜・カレー記念日」だったことと7月2日がうどんの日であることから、「カレーうどん100年革新プロジェクト」が制定した。
名店のカレーうどんは、スターになるために生まれた
(株)古奈屋代表取締役の戸川貞一氏が、東京の巣鴨で「古奈屋」を始めたのは 1983年のこと。
元芸能プロダクション社長の戸川氏は、オープン当初から「全国に通用するスターが1人いればプロダクションは有名になるが、メニューもタレントと同じなのでは。ならば、ファンを引きつけるための、スターを生み出さなければ」と考えていたという。
そして、当時約20 種類あったメニューの中から、戸川氏が選んだスター候補が「カレーうどん」であった。それは「カレーもうどんも国民食。なのに、そば屋でもうどん屋でも、カレーうどんはいつもメニューの片隅で、看板商品にしているところはない。カレーもうどんも、両方ともおいしければ、ヒットするのでは」という思いからだ。
それから、カレーうどんをスターにするための試行錯誤の日々が始まった。
なかなか納得のいく味にたどり着けな かったという戸川氏のヒントとなったの は、子どものころに食べたカレーの記憶 であった。
大家族用に大きな鍋で作ったカレーは 2日目の方がおいしかったこと、体が弱 く、好き嫌いが多かったため食事のたびに飲まされていた牛乳を、父親好みの辛いカレーにたらしてみたところ、まろやかになり、食べやすかったこと……。こうして、戸川氏の求める「カレーうどん」のイメージが固まった。
カレールウは、豚ばら肉、玉ネギ、ニンジン、リンゴなど20 種類以上の具材が使われているが、「スープを飲むときに、 具が唇に当たり邪魔だから」と、すべて小さく切り、よく炒めてから煮込み、形の残らないなめらかなポタージュ状にして3日越しで熟成させている。そして、カレーの辛さと牛乳によって濃厚なだしの味や香りが抑えられ、コクへと変わった。このなめらかさとコクが、古奈屋のカレーうどんの最大の特徴である。スープを最後まで飲み干す客も多い。
(日本食糧新聞社『近代外食史を刻む!ロングセラー料理のルーツ』)