1月10日。今日は糸引き納豆の日
1月10日は全国納豆協同組合連合会が制定した糸引き納豆の日。1と10で(いと)の語呂合わせに由来する。
精進料理の大将として描かれた糸引き納豆
納豆発祥の地は、はっきりしていない。各地に納豆発祥伝説がある。 源義家が戦地で農民に馬の餌を求めたところ、俵などに詰めた煮豆をさし出し、数日後、この煮豆が納豆になっていたという説、朝鮮に出兵した、加藤清正が、馬の背中にワラで包んだ煮豆を乗せておいたところ、馬の体温で煮豆が納豆になったという説、その他にも聖徳太子の納豆伝説など各地にさまざまなロマンがある。
また、文学作品に「糸引き納豆」であるとわかる形で登場するのは、室町時代の文明年間 (1469~1487年)以前に誕生したとされる「精進魚類物語」である。この物語は「平家物語」をパロディー化したおとぎ話で、 精進料理に使われる野菜や納豆たちの軍と、魚や鳥などの軍が戦い、最終的に精進料理軍が勝利を収めるという話である。この中に「納豆太郎糸里」という名の納豆が登場し、納豆らしく「しらいとおどしの大鎧」を身に付け、精進料理軍の大将として活躍する。この話から、当時すでに納豆が庶民に親しまれていた存在であることがうかがえる。 精進料理側の大将として納豆が選ばれていることは興味深く、 納豆のもつ粘り強い感じから大将の器量にふさわしい存在として選ばれたのではないかと思われる。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:全国納豆協同組合連合会 松永 進))