こうや豆腐特集
こうや豆腐特集:消費底上げに手応え ストック需要回すメニュー提案へ
こうや豆腐メーカー5社でつくる、こうや豆腐普及委員会によると、こうや豆腐市場の4~5月購入金額(全国消費者パネル調査)は、前年比で約20%増加した。
木下博隆委員長(旭松食品社長)は、「コロナ禍による内食化が要因。健康意識の高まりで、体のために何を食べるかを考える消費者が増え、“コロナ太り”対策として高タンパク、低脂質なこうや豆腐が求められたのでは」とみる。
一方、6月以降は前年並みのペース。こうや豆腐メニューの健康・美容効果がTV番組などで取り上げられたことをきっかけに起きた過去のブーム的な伸びとは違い、大きな反動減がないことは、消費ベース自体の底上げをうかがわせるが、20%の上積み分は「乾物故に、ストック需要が大きなウエートを占めている」格好だ。
「こうや豆腐の賞味期限はおおむね6ヵ月で、4~5月の購入分がそろそろ切れるころ。おいしく食べて次の購入へ–というサイクルを定着させるためにも、長い在宅時間でDIY的に料理を楽しもうというムードが強まっていることを追い風に、使い勝手の良い粉末タイプの『粉豆腐』を含め、機能性やメニュー、食べ方の訴求と提案に注力したい」構えだ。
●血糖値スパイクを抑制
旭松食品は9月、こうや豆腐を食べることが食後の急激な血糖値上昇(血糖値スパイク)の抑制につながる–との研究結果を発表した。
愛知みずほ大学大学院、輝山会記念病院(長野県飯田市)との共同研究で、27人を対象に粉豆腐を加えたパン、加えないパンを食べた後の血糖値上昇を調べたところ、粉豆腐入りの方が緩やかだった。
同大学院の佐藤祐造特別教授は、「血糖値スパイクは糖尿病リスクの一つだが、動脈内膜機能とも関連がある。こうや豆腐摂取は糖尿病の予防、改善だけでなく、動脈硬化症の予防にも役立つと期待できる」とコメント。木下委員長は、「こうした研究結果や論文が、こうや豆腐の需要と価値を押し上げている。今後も、さらにエビデンスを積み重ねていく」と話している。
●毎年11月3日を「高野豆腐の日」に
全国凍豆腐工業協同組合連合会(木下博隆会長)は3月、毎年11月3日を「高野豆腐の日」に制定した。
こうや豆腐普及委員会が今年度計画していた記念フォーラムはコロナ禍で開催を断念したが、来年度以降、記念日を生かしたPR活動で、消費活性化に取り組んでいく構えだ。