クローズアップ現在:外食チェーンの新業態 FFは「カスタム」「専門特化型」、焼肉は「高級路線」
コロナ禍の緊急事態宣言が明けた2021年10月以降、飲食業界ではさまざま新業態がオープンしている。中でもチェーン化している企業の動向を整理すると、いくつかのトレンドが見られる。ワタミは寿司と焼き鳥ダブルメインの業態をオープンし、多様な事業会社を擁するアークランドサービスHDでは専門性を推進。ファストフード系で特徴的な傾向は、ベースとなる商品にお客がトッピングなどによってカスタムするパターンだ。また、焼肉店では高級業態がオープンしている。
食大手のワタミは「すしの和」をオープン。寿司と焼き鳥というダブルメインに加えて、居酒屋のメニューをラインアップした。同社では近年、「から揚げの天才」「bb・qオリーブチキンカフェ」といったテイクアウト需要を取り込んだ業態や、「かみむら牧場」「焼肉の和民」という焼肉店の展開を行っている。「すしの和」では寿司、銘柄鶏の「大山とり」を使用した焼き鳥とも1個96円(税込み)からという親しみやすい価格構成と、ちゃんこ鍋も投入したメニューバラエティーによって、ファミリーも射程に入れた多様な客層を想定している。Web上では「すし善」というブランドで寿司のデリバリーも行う。
「かつや」をはじめとした多様な専門店の事業会社を擁するアークランドサービスHDでは、ミールワークスとエバーアクションがそれぞれフォー専門店「ワン フォーボウル」、ハヤシライス専門店「東京デミグラス」をオープン。ミールワークスは「マンゴツリー」を出自とする東南アジア料理を得意とした事業会社で、ライスヌードルに特化したことで特徴をアピールしている。エバーアクションは唐揚げのファストフード「からやま」や製造販売店「からあげ縁-YUKARI」のFC展開を行っていて、新業態ではクイックに提供できるハヤシライスに加え惣菜類の提供にカフェテリア方式を導入した。埼玉・三郷という郊外に1号店を構えたことから、業種、立地ともに新しいFC展開を志向していることがうかがえる。
ハンバーガーでは今年創業30周年となるフレッシュネスがテイクアウトオンリーのチーズバーガー専門店「Cheeseness Burger ToGo」をオープン。パティの枚数を選べるほか、世界各種のチーズを選んでカスタムする。スタンダードの「チェダーチーズバーガー+ドリンクポテトセット」は590円(税込み)。
居酒屋チェーンをメインに手掛けるオーイズミフーズはグルメバーガーショップ「BURGER & BEER COLOR」をオープンした。ハンバーガーの価格は1000~2310円(税込み)で、チキンウイング、スイーツなどメニューバラエティーも豊富、アルコールも揃え、さらにデリバリーを行うなどさまざまなニーズに応える。商品が自然素材によるカラフルなビジュアル系であることが特徴。
焼肉ではカジュアルレストランとしてのポジションを築いているトラジは「焼肉 牛印(うしじるし)」を、経営者が同社出身のFTG Companyは「焼肉割烹 双」をそれぞれオープン。どちらも焼肉の高級業態である。「牛印」は“焼き師”がお客の目の前で最良の焼き加減で提供するフルアテンド制。「双」では、その日仕入れた最上級の素材を最良の調理を施してコース仕立てで提供する。
(フードフォーラム代表 千葉哲幸)