コロナ禍においてハンバーガーが強い理由は

ハンバーガーが元気だ。マクドナルドが1971年に銀座に国内1号店をオープンしてから約50年。紆余曲折はありながらも、コロナ禍において売上げ減の外食店が多い中、ハンバーガー専門店は続々と開店している。その強みは何なのか。

出店しやすいバリエーション

ハンバーガーの利点に、バリエーションが豊富な点が挙げられる。まずは量。軽いタイプからボリュームのあるものまで、ハンバーガーは比較的多くの選択肢がある。その時の「腹具合」によって選びやすい。またボリュームを出そうと思えば、具材を自由自在に重ねられるので、その店のオリジナリティーも出すことも難しくない。価格帯も同様だ。安価な商品からプレミアム感のある商品まで、客単価も業態を変えて幅をもたせやすい。

ロッテリアの「ソイ野菜ハンバーガー」

素材の多様性のバリエーションもある。パティは「ひき肉」が基本なのだが、最近は既存概念にとどまらない。1枚肉を店内でミンチにして提供する店もあり、肉感あふれる食ベ応えを楽しめる。さらに「肉」にさえもこだわらない。チキン、フィッシュ、ローストビーフなどのほか、植物性ミートを用いた大豆バーガーや豆腐バーガーも最近ではよく目にするようになった。そして、ハンバーグの形状でなくても、バンズパンに挟まれば「バーガー」と認識されるようになっている。

こうしたバリエーションを生み出しやすい点は、店側に出店へのハードルを下げていると思われ、客にとっても飽きない奥深さを感じさせる一因となっているだろう。

店と客の「関係性」のバリエーション

バリエーションの豊かさは、店側と客側の「関係性」にも広がりをもたせていると筆者は考えている。チェーン展開しているタイプの店から、1店舗だけでオリジナリティーを出す店まで存在し、例えばチェーン展開の店は、「店のブランド」に対する安心感によって客は気楽に来店できるし、店主がこだわりによる個性的なバーガー店であれば、「〇〇さんが作るハンバーガー」といった「店主」への信頼感が生まれる。

ブルースターバーガーのオープンキッチン

この信頼関係のバリエーションの幅は、ラーメン店にも似ているともいえる。ラーメンも同様にチェーン展開の店から個人店まであり、ハンバーガーとの共通項が多く見受けられ、ラーメン店に見る成功の絵を描きやすいのである。

利便性からの広がり

また、ハンバーガーは利便性の高さも群を抜いている食事ともいえる。理由の1つはテークアウトにフィットした商品であること。特に客と店員との接触を抑えられるドライブスルーの需要の高まりがある現在、店舗に入らずに袋1つで商品を気軽に得られることは、消費者側の大きなメリットである。

マクドナルドの「パーク&ゴー」

2つ目の理由としては、皿や食具などがなくても片手で食べられ、テーブルがなくても可食できる簡便さ。「食べる場所」の幅を広げているといえるだろう。そしてテークアウトに適した商品であるということは、諸経費を下げ、小規模で開店できるため、コロナ禍でも出店しやすいことは言うまでもない。

このようにハンバーガー販売は、店側と客側の双方にメリットが大きい業態なのだといえる。では、ハンバーガー以外のファストフードについては、今後盛り上がっていくのだろうか。例えばホットドッグや牛丼はどうだろうか。次回に続けていく。(食の総合コンサルタント 小倉朋子)

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