農産物大国オランダ、干拓で培った技術や提案の輸出も得意
オランダ農産省主催の農産物輸出促進「日本、韓国、台湾ビジネスウィーク」がオランダのロッテルダム、アインドホーベン、エーデで2月17から19日に開催された。農産物輸出世界第2位を誇るオランダの輸出促進に向けたミッションについて語られた。
日本の経済成長に期待
今回は、オランダの農産物業者に対し日本と韓国および台湾へのビジネス促進であるため、まず各国の基礎情報が発表された。これら発表は各国在任の農務参事官が行った。在日オランダ大使館からは、農務参事官エーバートヤン ∙ クライエンブリンク氏を招いての紹介だった。
氏からの紹介では、まず一般的な日本の情報に始まり日本とのビジネスの利点が挙げられた。
・世界3位の経済大国。
・東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されるため、経済成長が期待される。
・アジアの大国中国ほど規制に縛られない。
・アベノミクスの効果で経済成長を遂げている。
・2019年2月1日から実施された日欧EPA(経済連携協定)の助けもあり、貿易の活性化を期待できる。
オランダからの輸出ターゲットはチーズなど
このミッションで発表された、現在オランダが焦点を当てている対日輸出促進項目は以下の通りである。
・農畜物および食品分野:チーズやバターなどの乳製品、牛豚鳥などの肉類、トマト・パプリカなどに代表される温室栽培野菜
・園芸:温室栽培の技術、バラや菊などをはじめとする各種切り花、チューリップ球根など
・ゲーム・衣料品関係
・エネルギー産業:食品分野では植物栽培時に排出される二酸化炭素を利用した熱源供給による農家のセカンドビジネスなど
・ハイテク分野:農業生産分野では、ハウスの完全IT化。収穫ロボットなど
・ライフサイエンス:農業分野では、種の共同研究による研究開発など
・デジタルエコノミー
・科学およびファクトファインディング
今後は、SDGsに対応したレスポンシブルビジネスコンダクトやサークルエコノミー、インクルージョンやダイバーシティーなどにも力を入れる。
農畜作物や食品および園芸部門も輸出への期待は大きい。オランダはこの分野において、農畜作物はもとより技術提供や提案の輸出も得意としている。現在日本をはじめとする世界各地において、オランダの技術輸入による農作物および園芸分野の共同開発や世界に誇る干拓技術の輸出などが盛んに行われており、今後さらに期待できる分野であろう。
ビジネス提携を結ぶ前には、日本から視察をされるが、これらの農業に付随する技術の高さに皆さん驚かれるのが現状だ。
オランダ農業が強い理由は
ではなぜ、オランダ農業が世界中で注目を浴び続け発展を続けるのか。これには諸説があるが、背景の1つには産官学の連帯形式が確立し国を挙げて取り組んできた歴史がある。
英国、ドイツ、フランスなどの工業分野に長けた国と経済面で肩を並べるために、17世紀に貿易で黄金時代を築いたビジネスのノウハウがある。
そして水害に悩まされてきた時代に学んだ技術の数々を踏まえて干拓技術を開発した。この研究開発過程で地質改良や各農家の農地拡大や効率化を築き上げることができ、若者にとって将来を描くことができる魅力のある職種へと発展させてきたのだ。
オランダの農業は、長い歴史が培ってきた経験と技術開発の賜物なのである。(オランダ在住フードコンサルタント 白神三津恵)