イノベーションを続ける農業大国オランダ 2020年の外食トレンドは食品ロス
毎年1月に、オランダのアムステルダムにあるライ国際展示場で開催されるHORECAVA。毎年、面白い展開を見せている展示会で紹介された2020年の外食産業トレンドをレポートする。
オランダ最大級の外食産業展示会「HORECAVA」
HORECAVAとはHorecavakbeursの略称で、ホテル・レストラン・カフェ分野の外食産業展示会だ。1975年よりアムステルダムで開催されており、外食業界においてはオランダ最大級のメッセである。各分野に分かれてパビリオンがあり、特に注目すべきはイノベーション部門だ。
「常に現実的な国民性」で「農産物輸出量世界第2位」を誇る農業大国オランダにおいての、食分野のイノベーションは一目置く価値があるといえるだろう。本年のメッセ開催は、1月13~16日だった。
出展社数768、訪問者7万806人、今回発表された新規イノベーションは1239件。平均すると、出展1社につき1.6件のイノベーションとなる。(情報提供:ライ国際展示場)
消費期限切れの生鮮食品をレストランで活用
毎年注目されるのは展示会でのトレンド。筆者も最初に足を運ぶコーナー「トレンドラボ」では、食品ロス対策のブースが目白押しだった。本コラムにおいて以前紹介したデンマーク発祥の食品ロス防止アプリ「TOO GOOD TO GO」のブース以外にも面白い発見があった。
福袋のようなワクワク感で食品ロス防止 欧州で普及に成功したアプリ
INSTOCK社は、消費期限切れや規格外の生鮮食品(野菜、果物、パン、肉、魚など)をスーパーより取り寄せて、専用のレストラン(アムステルダム、デンハーグ、ユトレヒト)で食材として再利用している。またケータリングやイベントにも積極的に出店しているそうだ。
さらに、消費期限切れパン及びジャガイモを発酵させてビールを作っている。緑のラベルがジャガイモからできたビール(PIEPERBIER)で、ピンクがパンのビール(BAMMETJES BIER)。
これらのビールを製造する過程で、麦汁を絞った後に残る麦で作ったシリアルも製造販売している。そして、これらの商品を使ったレシピ本も販売しており、高評価を得ているそうだ。
摘みたてハーブをレストランに提供
hrbs社は、レストランへ小規模コンテナと棚を貸し出して、自社栽培したハーブをお客さんに提供する仕組みを構築している。「輸送にかかる手間とコストと環境への配慮をし、新鮮なものをお客さんに提供」というコンセプトだ。
棚とコンテナは、大きさや高さが数種類あるため、店舗にあったものが選べる。これなら、省スペースで多種類のハーブが一度に栽培できる。ハーブの使用量は各レストランで違うと思われるが、主原料に比べれば少ない。摘みたてハーブが料理に添えられれば、映えも変わってくるだろう。
次回は、ネスプレッソのリサイクルと食品貯蔵への省エネアイデア、ダイエット中の人のためのレストラン紹介アプリをご紹介したい。(オランダ在住フードコンサルタント 白神三津恵)