屋外テラスを広々と活用…オランダの飲食店での新型コロナ感染防止策
新型コロナウイルスの脅威がオランダを襲い始めた3月には、観光客などの多いアムステルダムでは、レストランやカフェのテラスで優雅に食事を始めた人達も強制的に追い出される映像がニュースで流れ、衝撃を受けた。3ヵ月半が経過し、小さな進歩をしながら営業形態を変化させていったオランダの飲食店の状況をお伝えしたい。
感染予防の条件付きで営業再開
6月1日から飲食およびホテル業務が条件付きで再開。それまでは宅配とテークアウトのみが容認されていたが、人数制限や手指の消毒、入店時の体調チェックや座席間のソーシャルディスタンスなどの徹底化条件のもとレストランなどが利用できるようになり、人々の表情も明るくなった。
6月いっぱいは事前予約や1テーブル内での世帯数制限、入店時に顧客の連絡先登録義務、入店時の体調チェックなどがあったが、7月1日からこれらも緩和され下記の条件のもとに営業が行えるようになった。
●飲食店の営業条件(6月1日から、屋内外共通〉
・入店者数の制限+座席の間隔を1.5m空ける。
・客は入店時の手指消毒が必須。
・レストランやカフェ利用時にトイレの使用が可能。
・可能な限り出入り口を分けて顧客同士の接触を防ぐ。
●7月1日からの緩和点
<屋内での営業条件>
予約に限り室内100人以上の入店を許可。予約なしの場合は100人まで(両者ともに従業員を含まず)。
<屋外での営業条件>
250人までの入店許可。250人を超える場合は要予約(座席が確保できる場合にのみ有効)。
自治体が土地の貸し出しも
営業が許可されたとはいえ、まだまだ規制の多い状態で各店舗は工夫を凝らしての営業合戦が続いている。特に、入店者数の制限は収入へ直接の影響がある。地方などの敷地の広い店舗ではテラスを道の反対側にまで延長して営業できる。
しかしながら、全ての店舗の前に空き地や広場があるわけではない。そのような店舗のために自治体が駐車場などの場所を有料提供して、屋外テラスとしている。
希望店舗は、自治体へ申し込めばスペースを貸し出される。数店舗が入店しているため、フードコートのようになっていることもあってか、評判は上々。上の写真の店舗は10月までの限定ではあるが、評判がよければ来年度の継続もあり得るようで、新しい形でのレストラン営業が期待される。
まだまだ続くソーシャルディスタンス
オランダの街中を歩くと、現在ほとんどの商業区域には中央ラインが引かれており、ソーシャルディスタンスの強化を国民に促している。
これまで特定条件下でのマスクの着用を義務化。その代わりに、一にも二にもソーシャルディスタンスを推進してきた。まだしばらくはこの状態が続きそうである。(オランダ在住フードコンサルタント 白神三津恵)