オランダの食品スーパーも感染予防を徹底 入店制限を守らなければ罰金も
全世界で猛威を振るい続け、まだまだ衰える気配のない新型コロナウイルス。2月までは、対岸の火事とのん気に構えていた欧州であるが、イタリアでの発症からまたたく間に感染が広がった。ちょうど欧州はスキー休みやカーニバルに入ったころで、人の行き来が激しい時期にあたったことも感染拡大に影響しているようだ。その後のイタリアをはじめとする欧州での惨事は皆様も目にしたことがあるだろう。イタリア、スペイン、フランスほどではないがオランダとて例外ではない。ウイルスのまん延でさまざまな業界への影響が出ており、フード業界もその一つだ。今回はオランダのスーパーなどでの感染対策を紹介したい。
3月からインテリジェントロックダウン中のオランダ
4月22日時点でのオランダの新型コロナウイルス感染者は3万4842人、死者4054人だ。3月に入ってから感染者が増え始めたため、3月15日午後6時から現在に至るまで、インテリジェントロックダウン(条件付き封鎖)を行っている。
インテリジェントロックダウンの条件はさまざまあるのだが、その1つが、他者と最低1.5メートルの距離をあけて行動をとることだ(ソーシャルディスタンス)。
外食店はほぼ休業、完全予約制で継続も
ソーシャルディスタンスを保つために、まずは外食店に休業が言い渡された。レストランなどでは、お客さん同士の席も近く、従業員がお客さんの近くに行かなければ食事は運べない。しかし、これでは従業員とお客さん両者を感染の危機にさらしてしまう。これが休業の最大の理由である。
休業に追い込まれたレストランは、宅配に切り換えた業者も多い。終わりの見えない状態では、利用者の客離れが懸念されるため、各社知恵を絞っているのが現状だろう。
唯一通常営業が許可されているスナックバー(オランダ式ファストフード)では、完全予約制で対応しており、事前に注文して取りに行く、もしくは宅配で営業を継続している。通常営業ができるとはいえ、状況を踏まえた営業が求められている。
スーパーでは現金払いできず
日々の生活に欠かせない食料品などの買い出しに必要なスーパーや個人商店などでもさまざまな工夫がなされている。
例えば入店者数の制限。入口と出口を分けて、客同士の接触を避ける。売場面積に対しての入場者数を割り出して、客同士の距離を保つため、入店者全員にカートの使用を義務付けた。
義務付けの理由は、店内でお客さん同士の距離を必要以上に縮めないことにある。実際このシステムで入店すると、他者との距離を開けざるをえない。
現在は、入店時に入口で従業員からカートを受け取らなければ客は入店できない。退店時にカートを受け取った従業員は一つ一つ消毒をしていく。1家族1人の入店が義務付けられていて、守らなければ国からの罰金が発生する。
レジはビニールシートで区切られ、従業員は手袋着用。店内での立ち話は禁止。支払いはクレジットかデビッドカードのみの対応で、現金での買い物が不可能となった。個人商店でも、各自の敷地面積に合わせて、入店者数を店頭に張り出して対応しており、やはり支払いはデビットカードかクレジットカードのみである。(オランダ在住フードコンサルタント 白神三津恵)