第3の寿司ネタ「ハマチ」の魅力をパリの料理学校から発信
海外でも絶大な人気を誇る寿司。欧州でも数多くの日本食レストランで「shusi」が提供されており、フランスでは大型スーパーマーケットでも購入できるほど身近な存在だ。しかしながら、そのネタの主流はサーモンやマグロ、そしてアボカドやカニカマを巻いた”カリフォルニアロール”と呼ばれるアレンジ巻き寿司に偏っている。今回は日本では馴染みがあるものの、海外ではまだ認知度の低い日本食材をPRするイベントの様子を紹介する。
サーモン・マグロに続く食材として注目
世界的な知名度を誇る料理専門学校ル・コルドン・ブルー主催、在フランス日本国大使館・JNTO(日本政府観光局)後援で日本食・日本食材の魅力を伝えるデモンストレーションイベントが2021年12月に行われた。
ル・コルドン・ブルーでは世界の料理を扱う「Culinary Journey(料理の旅)」プログラムが行われており、今回のイベントはその一環として実施された。
イベントの主役は「ハマチ(ブリ)」だ。ハマチは日本での人気は高いものの、フランスではまだあまり知られておらず、海外でもサーモン、マグロに続く第3の寿司のネタとして注目されつつある。
日本とフランスを熟知した一流シェフが料理を提案
イベント当日は政府関係者やメディア、インフルエンサー、ル・コルドン・ブルーの学生を合わせて約70人が招待され、同時に、ル・コルドンブルーパリ校のInstagramでライブ配信が行われた。
刺身・焼き物の2品のデモンストレーションを行うのは、日本でミシュラン1つ星を獲得し、現在はパリのレストラン「駒つばき(Komatsubaki Paris)」で懐石料理を振舞う田窪シェフだ。魚のさばき方の実演、だしのとり方や調味料についての説明に加えて、ハマチは成長とともに名前を変える出世魚として知られていることなどの解説も行われた。シェフのコメントを熱心にメモしたり、記録用に撮影を行う参加者の姿も多く見られた。
料理に合わせた日本酒も紹介
海外では「SAKE」も少しずつ認知されるようになっている。そこで、料理に合わせて厳選された日本酒のレクチャーも行われた。
イベントでは1皿目の料理に合わせて「松竹梅 白壁蔵 <生酛純米>」(宝酒造)、2皿目の料理に合わせてフランスを中心とした欧州各国に向けて開発された日本酒「L’Atelier du sake <大吟醸>」(宝酒造インターナショナル)が添えられた。日本酒アンバサダーであるMaryam Masure氏によるプレゼンテーションとともに試飲が行われ、参加者との間で質疑も行われた。
アフターコロナを見据え日本食を提案
海外の日本食市場は拡大を続けており、これからも現地で馴染みのない日本食材をPRする機会は増えていくだろう。日本食材を浸透させていくためには、その基礎情報や扱い方、適した調理方法などを丁寧に提案していくことが欠かせない。
今回のように各専門家が集結して行われた日本食・日本食材のデモンストレーションイベントは現地での日本食への関心を広げる機会となるだけでなく、アフターコロナでのガストロノミーツーリズムの推進にも寄与することも期待される。近い未来に向けて、さまざまな関係者が日本食文化のPRに力を注いでいる。(在フランス管理栄養士ライター 高城紗織)