スナック菓子特集

◆スナック菓子特集:商品供給不安へ各社対応注力 ロングセラー中心に需要継続

菓子 特集 2021.05.24 12231号 10面
外出自粛が進む中、スナック菓子は一定の役割を果たした

外出自粛が進む中、スナック菓子は一定の役割を果たした

 2020年のスナック菓子市場は、新型コロナウイルス感染症拡大対策としての外出自粛に伴う急激な需要増加への対応に追われた。1回目の非常事態宣言の発出で外出自粛が進む中、買いだめ行動や家ナカ消費拡大でスナック菓子の需要は急速に高まり、ロングセラーブランド商品を中心に需要が急増した。メーカー各社は想定を超える受注に対し、商品の安定供給に全力を注いだが一部メーカーは、一部商品の休売という判断を下さざるを得なかった。1回目の緊急事態宣言が解除されて以降、受注は安定したが、21年に入り現在、ポテトチップスの原料であるジャガイモの不足という事態に直面し、2年連続で商品供給に不安を残す形となっている。(青柳英明)

 ●“心の癒し”など役割担う

 20年の北海道産ジャガイモは、作付面積の減少に加えて、6月下旬の低温と日照不足で、10a当たり収量が減少し、収穫量も前年比約8%減少した。日本では原則として、ジャガイモの輸入はできないため、年に1回収穫される、ジャガイモを使用し、年間のポテトチップスを生産する。現在は、ジャガイモの端境期に当たり、北海道産ジャガイモの出荷が本格化する秋までは、綱渡りの状態が続く。すでに一部メーカーでは、販促の抑止を行っており、小売業から他メーカーへの引き合いが高まっている。

 ○メーカー実績好調

 20年度の各メーカーのスナック菓子の業績は、おおむね好調に推移した。ヤマザキビスケットの前期(20年12月期)のスナックカテゴリー全体の実績は好調に推移。新型コロナウイルス感染症拡大防止対策による外出自粛や在宅ワーク増加に伴う巣ごもり需要の増加が影響し、「チップスター」「ポテトチップス」は微増で推移した。さらに、「エアリアル」の大幅増が寄与し、スナック全体で前年を大幅に上回る結果となった。

 湖池屋の21年6月期第2四半期(20年7~12月)の売上高は194億1500万円で前年比8.8%増、営業利益は12億9300万円で同197%増、売上高、営業利益とも第2四半期ベースで過去最高を達成した。これまで取り組んできた高付加価値商品戦略が着実に成果として現れた。

 東ハトの前期(20年度1~12月)スナック菓子カテゴリーの実績は、前年に比べ1桁前半の伸長と好調に推移。好調の要因は、主力商品の品質改良を伴うリニューアルや増量企画、チャネル・食シーン・ターゲット別に対応した小売チャネル戦略商品展開などこれまで同社の取組みが寄与した。さらにコロナ禍で、人々が外出を自粛したことで、いわゆる巣ごもり需要が増加したことも増収に寄与。森永製菓、ギンビスも前年実績を大きく上回って着地した。

 一方、カルビーの21年3月期の国内スナック菓子の売上げは、1756億7500万円で前年比3.5%減となった。ポテトチップスは、コロナ禍に伴う巣ごもり消費の増加で需要は活発化したが、需要の増加が急速だったため、対応ができず、供給調整や休売を余儀なくされた。また、コロナ禍で観光を控え土産用商品が大幅減となった。

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 本紙では、ウィズコロナ時代でのスナック菓子について各メーカーに聞いた。

 A社 人と人の接触を可能な限り避けるという状況の中で、最小単位の集団で時間が増加し、形作られてきた、一番の最小単位の集団である家族と過ごす時間が増加している。家の中で、家族と過ごす時間が多くなる中で、食にも娯楽的な要素が求められている中、スナック菓子は、一定の役割を果たした。当面、新しい生活様式を意識し、アクティブに外に出るのではなく、家の中で、アクティブに楽しめるということが重要になる。

 B社 20年のスナック菓子市場は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策による外出自粛や在宅ワーク増加に伴い、巣ごもり需要が拡大し、ファミリー消費の高まりから袋ポテト、袋スナック需要が増加した1年間だった。新型コロナの終息が見えない状況の中、昨年同様の傾向になると予測されることから、安心感のあるロングセラーを中心とした商品への需要が継続すると思われる。現在、先行きに不安を抱えている人が多く、楽しみなどが制限されている状況が継続しているため、今後の菓子(嗜好品)には心の癒しなどにつながる役割が一層求められと思う。また、新型コロナが完全に終息した際の客足の反動増(旅行客増など)も想定されることから、携帯性に優れた新製品などが注目されると思う。

 C社 コロナ禍で社会不安が増大する中、スナック菓子が人々にごほうびやくつろぎなどを提供すると同時にストレスの解消などに一定の役割を果たしている。さらに、コロナ禍で主食と間食の境界線があいまいとなる分食化など食のシームレス化に伴う朝食の食べ逃し、食事時間の減少、間食需要の増加という課題がでている。スナックの手軽さと料理のような本格感が両立されたニューノーマルおやつという切り口は新たな需要を創造する可能性が高い。

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