みりん類・料理酒特集

◆みりん類・料理酒特集:巣ごもり需要で新規獲得 定番強く既存品訴求の動き

調味 2021.02.05 12183号 06面
巣ごもり需要増で本みりんなどの基礎調味料への注目が集まっている

巣ごもり需要増で本みりんなどの基礎調味料への注目が集まっている

「本みりんの日」にちなんだ、本みりんPR動画「『賛否両論』店主 笠原将弘氏『本みりん』を語る」を公開

「本みりんの日」にちなんだ、本みりんPR動画「『賛否両論』店主 笠原将弘氏『本みりん』を語る」を公開

20年の新型コロナウイルスの感染拡大は、基礎調味料のカテゴリーである「みりん類・料理酒」の販売動向にも大きな影響をもたらした。20年春の緊急事態宣言の発令を受け、業務用・加工用市場は厳しい対応を迫られた。特に外出自粛要請などで業務用市場への影響は一層、深刻なものだった。秋ごろまでには徐々に回復の兆しを見せたものの、21年1月に東京をはじめとする首都圏1都3県に緊急事態宣言が再発令され、その後、大阪をはじめ7府県も対象地域に加わると、販売実績に急ブレーキがかかっている。

対して家庭用は巣ごもり需要でスーパーでの販売が好調。家庭で過ごす時間が増えたことで、料理を本格的に始めたトライアルユーザーの獲得につながっているとみられる。これまで比較的家庭への浸透度が低かった料理清酒ではその動きがより顕著に見られる例も。

コロナ禍ではスーパーでの買い物客の滞在時間は短くなり、「定番商品」が強みを発揮する結果となっている。ニーズの高い中小容量帯をメーンに、既存品の訴求に注力する動きが目立つ。(藤林敏治)

●中小容量帯に高ニーズ 20年本みりん7.0%減

全国味淋協会によると、20年1~12月の本みりん(一種みりん)の課税移出数量は6万4487kl(前年比7.0%減)となった。業務用市場の落ち込みを家庭用市場の伸びで補うまでにはいかなかった。19年10月の消費増税に伴う仮需の反動にも見舞われた。

同協会と全国本みりん協議会は毎年、11月30日の「本みりんの日」に併せた本みりんのPRを行っている。20年は11月30日にホームページを通じて、本みりんPR動画「『賛否両論』店主 笠原将弘氏『本みりん』を語る」を公開した。動画では笠原氏が、素材の味を生かす上品でまろやかな甘みや、料理に「テリ」と「ツヤ」をつけるといった本みりんの六つの調理効果を紹介。また本みりんと醤油、だしの比率を変えるだけで簡単にさまざまな料理と合うつゆが作れる「和食つゆの黄金比」を伝授している。

コロナ禍は、食をめぐるシーンを大きく変えた。宝酒造が20年6月に20~40代の女性400人を対象に行った「自炊に関する意識調査」によると、「コロナ禍による料理機会の変化」について、全体では26.5%が「増えた」と回答。年代別では20代が44.8%と最も多く、和食離れが目立つ若年層で料理機会が特に増加したことが分かった。

また「料理への意識の変化」として、44.5%が「レシピサイトを見る機会が増えた」とし、料理をする上での悩みとして75.0%が「メニューがマンネリ化する」と答えた。

こうした結果を裏付けるように同社の本みりんや料理清酒を使ったレシピサイトへのアクセスは、前年の約3倍に伸長したという。

少子高齢化が進み、みりんや料理清酒といった基礎調味料については、大幅な市場の伸長は望めないといわれる。しかし家庭での料理機会が増えたコロナ禍をチャンスと捉え、レシピの積極的な提案によりトライアルユーザーに和食を家庭で作ってもらう機会を増やすことが、市場全体の拡大につながることは間違いない。

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