パウチ惣菜特集

◆パウチ惣菜特集:市場規模は過去最高更新 前年比3.5%増に

惣菜・中食 2021.07.26 12266号 10面

 コロナ禍でパウチ惣菜(袋物惣菜)が堅調に推移している。昨年から断続的に続く緊急事態宣言で外食が翻弄(ほんろう)される中、内食需要は増加している。中でもパウチ惣菜は簡便調理に優れるだけでなく日持ちの点などで重宝され、コンビニエンスストア(CVS)を中心に底堅い需要がある。一方、日持向上剤は惣菜の種類、売場などによって市況に凹凸がある状況だが、コロナ禍で一層顕在化した食品ロス削減に貢献できるとして見直しの動きがあり、惣菜向け需要は今後も続きそうだ。(藤村顕太朗)

 ●コロナ禍も堅調 簡便・日持ちのよさで重宝

 日本惣菜協会の「2021年版惣菜白書」によると、20年度の袋物惣菜の市場規模は前年比3.5%増の8396億円と過去最高を更新した。

 惣菜市場全体(9兆8195億円)に占める構成比としては、前年比0.7ポイントアップの8.6%と右肩上がりの成長が継続。同じく伸長が続いている調理麺とともに存在感を示している。

 業態別に見ると、CVSの構成比率が圧倒的に高く、主流のスタンディングパウチは省スペースに都合が良く重宝されている。目下、家飲み需要も旺盛であることから、おつまみ系のパウチ惣菜が人気。

 さらにコロナ禍で高まった健康ニーズに応えるため、サラダチキン、ハム・ソーセージ類といったタンパク質系商材のラインアップも目立つ。

 ここにきて、従来から課題となっていた食品ロス削減がフォーカスされるようになった。そこで、少しでも日持ち期間を延長したいとの要望が広がっており、日持向上剤があらためて脚光を浴びている。

 比較的薄味の惣菜に対しては、酢酸ナトリウム製剤が使われることが多いが、酸味・酸臭が課題で味に影響を与えるため、それを解決できる製剤ニーズが高まっている。

 また、レトルトの中身の具材を崩さず、風味も保持する狙いで緩やかな加熱を行う場合は、耐熱性菌が残るため日持向上剤のニーズがある。

 昨今ラインアップが増えているトップシール型容器の惣菜では、同様な理由から採用事例がある。

 巣ごもり需要が拡大する中、新たにテークアウト・デリバリーを計画している中小規模の外食や個人店舗が増え、これに合わせて日持向上剤を使いたいとの声もある。

 特にテークアウト・デリバリーについては、食中毒が問題となっており、菌が増えやすい温度(20~50度C)で長時間置いておくことや、再加熱しないで食べてしまうことなどが原因とされている。そこで、テークアウト向け製剤なども登場している。

 このほか減塩食品では、塩分で抑えられていた菌が増殖することが問題となっており、そこに塩分に代わる製剤が求められている。

 コロナ禍で買い置きニーズが高まる中、より長い日持ちが期待されてはいるが、逆に食材の変色や食感の変化など別の問題も出てきており、簡単には伸ばせないのが実情だ。解決方法としては、製剤そのものの改善だけでなく、食材の管理方法や包材の工夫など多岐にわたり、総合的・複合的な視点での日持ち向上が求められている。

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