食肉加工品特集

◆食肉加工品特集:家庭用堅調続く 内食化が定着 業務用は年間通じ苦戦

乳肉・油脂 2021.05.19 12229号 08面
落ち着いた価格競争、再燃の気配も

落ち着いた価格競争、再燃の気配も

 食肉加工品の20年商戦は、コロナ禍での内食需要増で即食・簡便ニーズに合致したハム・ソーセージ・ベーコン類や、ハンバーグ・惣菜類など調理加工品の定番商品が順調に売上げを伸ばしたが、外食向けを主体とした業務用商品が年間を通して苦戦を強いられた。21年に入っても前年同様の傾向が続いている。新型コロナ感染再拡大で先行き不透明な状況が続く中、内食化は定着し、家庭用商品は引き続き堅調に推移している。ただ前年の特需の反動が出始めていることから、厳しい商戦になりそうだ。

 食肉加工品生産数量の21年1~2月累計では前年比2.6%減となっている。また、経済悪化による消費マインドの冷え込みも懸念され、いったん落ち着いた価格競争が再燃しそうな気配だ。定番商品の大幅伸長で新商品の配荷が進まない状況ではあるが、内食化による需要増を一過性のものとしないためにもメーカー各社には価格訴求型商品だけでなく、業界の活性化につながるような価値訴求型商品の開発に期待したい。(廣瀬嘉一)

 ●ライフスタイルや消費者ニーズ 的確とらえ新提案を

 20年(1~12月)の食肉加工品生産数量は前年比0.2%減の54万9823tと微減となった。食肉加工品業界を取り巻く環境は厳しく、長期にわたり苦戦が続いていた。20年3月以降、コロナ禍で業務用商品は依然低調だが、家庭用商品は長期外出自粛、飲食店の営業短縮・自粛、テレワークの増加などの影響で、即食・簡便ニーズに合致したハム・ソーセージ類や、ハンバーグ、ピザ・チキンナゲット、惣菜類など幅広い商品群が大きく伸長している。堅調な推移であるが、これはコロナ特需に過ぎない。ライフスタイルや消費者ニーズの変化を的確にとらえた新たな提案をし続けなければ、またダウントレンドに戻ってしまう。

 21年1~2月累計の食肉加工品生産数量は、▽ハム類=1万3987t(前年比4.6%減)▽プレス類=2737t(同6.9%減)▽ベーコン類=1万4397t(同1.8%減)▽ソーセージ類=4万7078t(同1.2%減)▽総合計=7万8198t(同2.6%減)と、いずれも前年数値を下回っている。

 新型コロナ感染再拡大で先行き不透明な状況が続く中、内食化は定着し、家庭用商品は引き続き堅調に推移しているが、前年の特需の反動が出始めていることから、上期全体では厳しい商戦となりそうだ。

 下期についても、しばらく内食化傾向は続くとみているが、経済悪化による消費マインドの冷え込みも懸念され、いったん落ち着いた価格競争が再燃しそうな気配だ。価格対応は避けては通れないが、コロナ禍後も見据えた新しい価値の創造や、消費者視点に立った商品開発も市場から求められている。伸長している間にコロナ禍後の需要を取り込む施策に着手しなければ、業界の活性化は望めない。

 現状は、定番中心の売場展開が続き、新商品の配荷が進まないため、近年の新商品は主力ブランドの派生商品が目立っている。20年春夏新商品として、大手メーカー各社が投入した大豆ミート中心のノンミート商品は新型コロナの影響で動きは鈍かったが、21年は本格展開による業績上乗せに期待が高まっている。

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