海外ブランドビール特集
◆海外ブランドビール特集:EC・持ち帰りなど厳しい中にも新潮流
海外ブランドビール市場は20年上期、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けながらも、EC(電子商取引)や飲食店での持ち帰り販売が進むなど、新しい動きが生まれている。第2波への懸念を含めコロナ禍の余波が続く中、消費回復の起爆剤にできるか。下期に向け業界各社の手腕が試される。(丸山正和)
●消費回復へ薄明かり
日本国内でのライセンス生産を含む海外ブランドビールは、ブランドごとに違いはあるがビアバーをはじめとする業務用の販売が多くを占める。政府によって緊急事態が宣言された4月以降は休業する店が急速に広がり、5月に入ると深刻さの度合いは増した。
打つ手のなかった20年1~5月のインポーター主要各社の販売は業務用実績を総合すると、前年比5割減が大勢。業務用比率の高いブランドでは同7割の減少も散見される。
海外ブランドは大手の居酒屋チェーンが主体の国産NBとは異なり、個人経営の店がほとんど。2ヵ月以上にわたる休業と酒類に対する消費マインドの低下で、店舗運営は厳しさを増す。6月に入り、マスク着用や店内の消毒徹底などの感染防止対策をとりながらの営業再開が増える見込み。インポーターやメーカーには需要喚起はもちろん、商品の導入先の支援も求められよう。
こうした状況だが、薄いながらも明るい兆しも見えた。長引く外食の自粛から巣ごもり消費へとシフトが進み、酒類では家飲みやオンライン飲み会が急速に増えた。外食を控えていることもあり、嗜好(しこう)品では少しぜいたくを求めるニーズが顕在化。酒類専門店では食品との関連購入も増え、海外ブランドビールの売上げが前年比2倍増を記録した店も一部にあったという。ベースにはこれまで飲食店で海外ブランドビールを楽しんでいたファンによる指名買いもあり、ブランドロイヤルティーの高さが表れた結果ともいえる。
業務用で苦戦を余儀なくされる一方、家庭用では昨年までの成長基調を維持しているブランドが少なくない。秋以降はハロウィーンやクリスマスといった催事が控える。小売店頭での仕掛けを例年以上に行い、下期には拡売へさらに勢いをつけたいところだ。
また、食品などと同様にECの販売も増えた。特に造りにこだわった高額なベルギービールなどの販売が好調だったと手応えを示す。海外ブランドビールは世界各国を代表するビールが多く、誕生にまつわる物語や製造法については説明が必須となる。店頭POPのような制限がないECサイトではしっかりとした解説を載せることができるなど、もともと親和性が高い関係にあるといえる。
現時点では予期せぬコロナ禍で不可抗力的に広がった格好だが、それぞれのブランド力がある海外ブランドビールならではの動きともいえる。今後、専用グラスをはじめとするグッズとのアソートなど提案するブランドや商品幅を広げることで新たな販売チャネルとして定着させることができるか試されよう。
同様に飲食店での新しい動きといえるのが、グラウラーと呼ばれる再利用可能な耐圧保冷容器を使った量り売りだ。国税庁が期限付きの小売免許を特例で認めたことを受け、これまでは店内で飲むしか許されていなかった酒類を持ち帰って自宅で楽しむことができるようになった。ビールだけの販売のほかランチと併売する際の提供法として少しずつ浸透している。専用容器を使うことで味わいも維持できると人気で、ネット上にはビールが持ち帰りできる店のリストを掲載したサイトもある。免許の問題があるが、一過性のブームに終わらせずアフターコロナにどう展開していくか期待される。
エコという観点ではコロナ禍への直接の対応ではないものの、ビールメーカー側からの容器に関する取組みも始まった。アンハイザー・ブッシュ・インベブはグローバル活動の一環として展開する「ピュアドラフト」は、集客が読めない状況下でもムダのない営業を助ける新容器として飲食店からの問い合わせが増えているという。
コロナ禍では各種のイベントが相次いで中止となったが、インポーターの多くが関係するのが「ベルギービールウィークエンド」だろう。すでに横浜、日比谷が中止。名古屋と大阪は延期が決まっている。最終の東京は9月に六本木ヒルズアリーナで開催予定だが、国が示す新たな生活様式を踏まえながら、どういった形で開催されるのか注視されよう。
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