片栗粉特集

◆片栗粉特集:家庭用…国産回復の兆し 業務用…輸入据え置きも

農産加工 2019.10.04 11952号 07面
バレイショ畑

バレイショ畑

◆片栗粉でタピオカドリンク

片栗粉は粉売場でも売上げ上位商品であり、市場は製品のPB化が進む。家庭用は一昨年の量目変更による実質値上げで需要が1割程度落ち込み、対策が求められる。物流問題も今後の課題であり、配送形態の見直しが検討されている。家庭にある片栗粉で、ブームのタピオカドリンクを作る使い方も登場している。(三井伶子、海野裕之、徳永清誠、堀江勝)

●原料事情

片栗粉の原料となる、19年産北海道バレイショでんぷんの供給量の見通しだが、作付時期の天候が良く生育も順調であることから、前年比1万5000t増の18万3000tを見込む。生産地区によっては猛暑による干ばつ傾向が見られたが、主力のオホーツク地区は総じて順調だった。JAのでんぷん10工場は、9月第1週に操業がスタート。バレイショのでんぷん含有量を示すライマン価もオホーツク地区は平年並みという。一昨年は繰り越し在庫が少ない状況も、今年は民間工場がヒネ在庫を持っており、来年までの供給に不安はなさそうだ。

●販売動向

18年10月~19年8月の国産バレイショでんぷんの片栗粉向け販売数量は、前年比1%減の3万900tで推移している。家庭用片栗粉は一昨年のでんぷん値上げに伴う量目変更が影響し、需要が1割程度落ちている。需要を取り戻すには特売を打つなど対策が必要だが、原料の割り当てなどでなかなか厳しい。

外国産の加工でんぷんは昨年、不作で価格が1割程度上昇した。サプライヤーによっては国産より高い価格もある。一昨年の北海道産バレイショでんぷんの値上げの際、業務用を中心に一部輸入でんぷんに切り替わったが、地域によっては国産回帰の動きが活発になってきている。ただ、大手外食などは安定供給のため絶対量が必要であり、輸入でんぷんを使用するところが多い。

スーパーの粉売場の売上げ上位商品は、小麦粉、片栗粉、パン粉であり、スーパーによっては片栗粉が1位のところもある。市場は製品のPB化が進み、少量多品種が求められる状況にある。そのような中、昨年大手メーカーがボトルタイプの顆粒片栗粉を発売。店舗によっては、従来の袋入り片栗粉の売上げが取られたところもある。同じでんぷんであることから、人気のタピオカドリンクを家庭にある片栗粉を使って作るレシピも登場している。

●今後の課題

北海道でのでんぷん原料用バレイショの作付けが減少する中、単収を上げていく必要があり、シストセンチュウ耐性のある種イモの普及が急がれる。22年産には抵抗性品種に100%切り替わる予定だ。ただ、果たしてそれによってでんぷん需要が確保できるのかとの声もあり、水産練り製品や即席麺、ハム・ソーセージなどのでんぷん用途では、タピオカに切り替わったまま戻っていないものもある。

今後の課題として挙がるのが、物流問題だ。北海道からのでんぷんの配送形態は、25kgの紙袋を20tもしくは5t単位で配送し、その後人手でバラで積み卸しする納品形態が多い。ドライバーの減少が進む中、輸送形態を変えていかなければ今後、物理的に運べなくなる可能性もある。現在、産地の北海道や全農を含め、物流形態の解決に向け対策を進めている。また、賞味期限についても年月表示にすることでロス削減につなげるなど、さまざまな角度からの対策が必要となっている。

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