野菜・果実飲料特集
◆野菜・果実飲料特集:高まる体調管理意識に新提案 新製品の投入が活発化
◇栄養を野菜と一緒に摂取
今春、野菜飲料市場に新たな風が吹いている。“手軽な野菜摂取”という根本価値はそのままに、消費者の体調管理や無理をしないからだづくり意識の高まりに対応する植物性タンパク質などの栄養摂取を訴求する製品提案が続く。また、ダウントレンドが続く果実(果汁)飲料市場にも、果実(果汁)の持つ力を提案する新たな取組みが始まっている。(本吉卓也)
●野菜飲料=栄養摂取ニーズに対応した新製品群
野菜飲料は、メガトレンドの健康志向に対応する“野菜を飲料で手軽に摂取できる価値”や“野菜飲料が持つ健康性”が消費者に支持され、17年までは拡大を継続してきた。18年に伸長が一服した後、19年もダウントレンドとなった。この要因をあるメーカー関係者は「大型容器製品の価格改定による一時的な影響や健康機能を訴求する乳酸菌製品や機能性表示食品、豆乳、酢など他カテゴリーへの流失と考えている」と分析する。だが、20年は高まる消費者の体調管理意識に対応し、回復傾向に転じ、前年を上回る月もあるという。回復傾向をさらなる成長へつなげようと、消費者の課題に応える新たな提案が続く。
それは、植物性タンパク質などの栄養摂取への関心に対する提案だ。女性の社会進出が進み、仕事に家事に多忙な女性が増加し、運動や健康に配慮した食生活もままならないという食生活や健康習慣の変化がある。その変化から派生した、女性を中心とする植物性含むタンパク質を野菜やビタミンC、鉄分などの栄養素とバランス良く効率的に摂取したいというニーズに応える新製品となる。
今年で25周年を迎えた「野菜生活100」ブランドからの新シリーズ「野菜生活 Soy+(ソイプラス)」(カゴメ)は、おからまで丸ごと使用した青臭くない大豆に果実と野菜をブレンドした果実・野菜・大豆ミックス飲料だ。植物性タンパク質5~6g、2分の1食分の野菜を使用し、食物繊維やイソフラボンなどを手軽に摂取できるのが特徴。豆乳売場などでの展開を狙い、新規ユーザー獲得を目指す。
伊藤園は植物性タンパク質を野菜や果実の栄養と一緒に摂取できる新たな栄養バランス野菜飲料「POWERS SALAD(パワーズサラダ)」を投入し、女性を中心とした美容や健康のための栄養バランスを考慮したタンパク質摂取ニーズに応えていく。1食分の野菜120g分を使用し、1本で野菜と果実由来の栄養素に加え、豆由来の植物性タンパク質が6.5g取れる。サラダ専門店で提供される「パワーサラダ」の世界観をイメージしたパッケージで、新たな栄養バランス野菜飲料として野菜飲料の可能性を広げる。
フルッタフルッタが提案する「フルッタアサイープロティン」は、1本で35g分のタンパク質を含有し、コップ1杯(200g相当)で約7gのタンパク質を摂取することができる。 植物性プロテインの大豆タンパクを使用しているため、乳アレルギーや植物性志向のユーザーも安心して楽しむことができ、しなやかな筋肉を作りたいというからだづくりニーズに対応する。
いずれも、従来の野菜飲料では獲得しきれなかった若年女性などの新たなユーザー獲得を目指す取組みとなる。
野菜飲料市場が減少した大きな要因として、ボリュームゾーンとなる野菜・果実ミックス飲料の減少がある。「野菜を摂取している実感が足りないことではないか」とキッコーマンは考え、その課題解決を目指すべく、野菜を実感し、“つぶつぶ”食感を楽しめる野菜・果実ミックスジュース「デルモンテ つぶ野菜」を投入している。すりおろした10種類の野菜と果実を100%使用し、つぶつぶとした食感で野菜を摂取している実感を訴求する。
●果実飲料=おいしく栄養補給 商品の魅力高める
果実飲料でも新たな提案がある。キリンビバレッジは「トロピカーナ エッセンシャルズ」初の果実スムージー「エッセンシャルズ プラス」を新シリーズとして、4月7日から2品上市する。30~40代男性の摂取したい栄養素として関心が高いビタミンや乳酸菌に着目したおいしく栄養補給もできる果実スムージーとして提案する。
伊藤園は新たに提案する「世界の果実」シリーズで「世界の果実 ブルーベリーmix」「同 ざくろmix」の2品を上市し、現代人の健康を世界の果実でおいしくサポートすることで、果実飲料の魅力を高めていく。