昆布茶特集

◆昆布茶特集:料理用、飲用停滞をカバー 家庭用51億円強で安定推移

飲料 2019.10.07 11953号 06面
鍋物などの隠し味・だしでの用途は引き続き堅調。優れたうまみと使い勝手で、食卓に浸透しつつある

鍋物などの隠し味・だしでの用途は引き続き堅調。優れたうまみと使い勝手で、食卓に浸透しつつある

伝統産業である昆布茶市場は今秋も需要期が到来している。日本特有の嗜好(しこう)品であるほか、「最古のインスタント飲料」として知られる同市場だが、近年では飲用需要の停滞を料理用途がカバーする構図が続く。一方で、アイス昆布茶やフレーバー昆布茶など飲用需要の通年化に向けた取り組みも目立ち、市場は安定傾向を続けながらも変化を含む流れにシフトしているといえるだろう。市場規模は家庭用で50億円強を長年継続しているが、料理用途の拡大に伴い、消費構造も大きく変化。また、原料高騰を背景にコスト増の波が押し寄せ、価格改定を含めた価値訴求が望まれている。(村岡直樹、徳永清誠、浜岡謙治)

家庭用市場はここ十数年、50億円強で安定推移し、18年もほぼ前年並みとなる51億6000万円(本紙推定)で着地した。料理用向けの大容量が増加を続け、飲用向けでは減塩タイプやフレーバータイプなどが伸長、一方でスタンダードタイプは一般小売では厳しい局面が続き、Web通販などへのシフト化も目立ち始めた。料理用途の拡大が飲用需要の停滞をカバーする構図は当面続くものと予想されるが、減塩・フレーバーなどの付加価値提案は確実に評価を得ており、これらを通じた飲用需要の通年化が今後のカギを握ると思われる。

19年は例年通り配荷増を契機とする静かなシーズン入りとなったが、店頭品数は3品前後を確保。夏場でのアイス昆布茶の反響も一定数見られ、今後、東京五輪へ向けたスポーツ志向との連動にも注目したい。

一方で、原料事情は深刻さを増す。主原料の北海道産昆布は年々生産量が減少し、今期も生産減の予想。取引価格も高値が続き、物流費や資材費などのコスト増にも直面する。容量変更を含めた価格改定はすでに一部では敢行され、安定供給を視野に入れた嗜好品としての適正化は必須だ。

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