オリーブオイル特集
◆オリーブオイル特集:付加価値オイルの筆頭格に 家庭用430億円突破
国内オリーブオイル市場は19年、家庭用で430億円(本紙推定)に到達。18年にキャノーラ油を抜き、金額ベースでは食用油トップカテゴリーの座に就いたが、その差をさらに広げる形となった。春先からの各社の活性化施策に加え、内食需要の拡大も後押しし、20年も順調な出足。調味料として活用する「生使い(生食)」需要も引き続き旺盛で、和洋中を網羅する使い方提案が着実に浸透している。伸びしろとして注目されていた購入経験率も若者層のエントリーが一部見られるなど、裾野も拡大しそうな気配にある。食用油市場全体の規模拡大の面でも同市場は重要なカテゴリー。付加価値オイルの筆頭格として、20年も成長を維持しそうだ。(村岡直樹)
●需要喚起隙無し
国内家庭用オリーブオイル市場は19年、18年比約5.4%増となる430億円(本紙推定)に到達。消費増税による節約志向の影響を一部受けたものの、通年で需要を獲得し、売場を広げた。395億円に規模を縮めたキャノーラ油との差を広げ、金額ベースで食用油最大カテゴリーとしての地位を盤石化。需要喚起の面でも、健康感やおいしさ、生使いによる活用シーンの拡大など隙が無く、通年で多彩なニーズに対応した。
ジャンルで見ると高単価・差別化商材が主流のエキストラバージン(EXV)、スタンダードなピュアタイプともに総じて好調に動いた。輸入・商社系のアイテムも原料危機に直面した17年と比べ、18年に続き拡大基調が続いたもよう。
わが国のオリーブオイルの歴史は実は浅く、1990年代のイタメシブームを契機に市場は本格形成された。95年当時の市場規模は現在の約12分の1の35億円だったが、主要メーカーの仕掛けにより規模が跳ね上がり、以降100億円台を安定してキープする構図となった。
現市場規模のターニングポイントとなったのは、「健康価値」と「生使いの拡大」に集約される。健康価値は12年から脚光を浴び、注目度が大きくアップ。情報番組での露出やイタリア料理以外の使い方提案などで売場が拡大し、250億円規模に到達した。
生使いの拡大は参入メーカーの仕掛けによるところが大きく、和食など領域を順次拡大。食用油全体への健康価値の見直しも後押しし、さらにオリーブオイル独自の世界観(ファッション性)、“オリーブジュース”としての鮮度感もファン層の拡大につながった。これらにより16年は360億円規模に到達、翌17年は主要生産国(スペイン・イタリアなど)の原料危機により前年を割ったが、環境が緩和した18年、19年は連続して市場規模を拡大させている。
20年の市場展望だが、価値に見合う価格適正化を大前提に、通年では拡大基調が継続すると思われる。具体的には、(1)同じく付加価値カテゴリーであるごま油やサプリメント的オイル(アマニ油やエゴマ油など健康を目的に継続摂取するカテゴリー)とのすみ分け(2)若者やライトユーザーなど開拓層へ向けたエントリー喚起(3)オリーブオイルの特性を生かした異業種との連動提案(コラボ含む)–の3点はもう一段上の市場規模を狙う上で、重要な取組みとなるだろう。
そのほかの付加価値カテゴリーとのすみ分け提案は、ニーズが多様化、多岐にわたる中で必須のものであり、食用油全体の市場拡大のカギも握る。調味料としての活用が浸透し、今後、醤油やポン酢など他市場との競合が加速することが予想される中、まずはオイル間でのすみ分けを明確化する必要がある。すでに高いレベルで進行しつつあるが、継続的に取り組むに値する。
開拓層へ向けたエントリー喚起は、約55%といわれる購入経験率の低さに対応する。認知率の高まりにより親しみやすさも増しているオリーブオイルだが、いまだ敷居の高さを感じる生活者も多い。ライトユーザー向けレシピや手軽な楽しみ方提案を図り、払拭(ふっしょく)する必要がある。
食品異業種との連動提案は、すでに一部生鮮や発酵食品などで見られるが、20年は裾野・奥行きの両面でさらに重要性を増すだろう。小売サイドでも付加価値商材として熱視線を送るオリーブオイルだけにさまざまな提案手法が考えられる。
内食需要は当面続くことが濃厚で、健康志向や免疫力への関心は新型コロナの影響でより高まるなど、追い風要因は多い。春先から順調な出足を見せる中、潜在需要をさらに発掘できれば、異次元となる500億円台も夢物語ではない。
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