こうや豆腐特集

こうや豆腐特集:ユーザー獲得の好機 コロナ太りには高タンパク質を 代替肉需要も

農産加工 2021.10.08 12306号 07面

 こうや豆腐メーカーでつくる、こうや豆腐普及委員会の木下委員長は、今春夏季の業況について「長引くコロナ禍で業務用の需要は戻っておらず、市販用も“巣ごもり特需”の反動減などで低調。決して良くはない」と振り返る。

 ただ、「健康的な食品としての認知度がここ数年で高まっていることから、それほど『落ちている』感じはない」と説明。「“コロナ太り”などへの懸念から、良質なタンパク質を食事でとろうという消費者が増え、高タンパクで低脂質なこうや豆腐にとっては、新しいユーザー獲得のチャンス。レジスタント・タンパク質の健康機能性など、これまでの研究で積み重ねてきたエビデンスの情報発信を的確に行い、消費活性化のきっかけにしたい」とする。

 メニュー、食べ方提案による消費シーンの拡大も狙う考え。木下委員長は「精肉売場にも並び始めた大豆肉の市場定着は、こうや豆腐にとっても一つの指針になる」と話す。

 鶏肉に近い食感を生かした「こうやカツ」など肉の代替として親しまれているメニューは以前からあり、メーカーによっては細かくカットしたひき肉状の製品も業務用などで展開している。「こうや豆腐ならではの機能性も付加できる。乾物売場から多彩な棚へ足場を広げることで、新しいユーザー層を開拓したい」とする。

 ●大豆価が急上昇 価値再構築急務

 機能性認知の拡大などで「新たな価値の再構築」が進むこうや豆腐だが、影を落としているのが原料大豆の高騰。輸入大豆の国際価格は昨年秋ごろから急上昇し、やや落ち着いた現在も高止まりが続いている。

 同普及委員会によると、5月7日のシカゴ商品取引所・大豆価格は1ブッシェル(容量35L、約27.2kg)16.2ドルで、2012年9月4日に記録した過去最高価格、17.7ドルに迫った。9月3日には12.8ドルまで下がっているものの、8~9ドル台で推移してきた18年以降の価格帯から、一段水準が上がった格好だ。

 高騰の背景について同普及委員会は「20年後半から南米の乾燥懸念が強まっていることに加え、主に油用とみられる中国の輸入需要が増加したことから、大豆やトウモロコシを中心に価格が急上昇している」と説明。インフレ懸念が強まるアメリカなどの金融市場で、ダブついた資金が穀物相場に流れているとの見方もある。

 木下委員長は「企業努力で吸収できるレベルではない上がり幅」と指摘。「業界挙げて、健康機能性を中心に価格転嫁に見合う付加価値を早急に構築していきたい」と話している。

 ●29日にはこうや豆腐フォーラム

 同普及委員会は29日、大阪市北区の「常翔ホール」で、市民フォーラム「見直そう、日本食文化~高野豆腐でおいしく健康に~」を開く。

 医師で作家の鎌田實氏が「タンパク質いっぱいの生活~健康で長生きの秘訣」をテーマに講演するほか、医学博士で管理栄養士、健康運動指導士の廣田孝子氏、料理研究家の白井操氏とのパネルディスカッションも行われる。

 11月3日の「高野豆腐の日」にちなんだもので、同普及委員会は「こうや豆腐の魅力を再発見して、新たなファン層を掘り起こす機会にしたい」としている。

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