CVS海外戦略、独自路線を追求 新たな成長源探る
コンビニエンスストア(CVS)の海外戦略で各社は、独自路線を追求する。セブン&アイ・ホールディングスは米国3位のCVS買収を発表し、北米CVSをグループの成長の軸と位置付ける。伊藤忠商事の完全子会社化を決めたファミリーマーマートは、伊藤忠グループのネットワークを活用する。ローソンは中国で今年中に3000店以上の展開を目指す。ミニストップは海外事業で前期に営業損失を計上し、今期も新型コロナウイルスの影響で苦戦している。国内では出店を中心に成長余地が限られるため、海外に成長の活路を求める。(山本仁)
セブン-イレブン・インクは、米国Marathon Petropleum Corporationから米国CVS業界で第3位のSpeedwayブランドを運営するCVS事業などを2兆2176億円で取得する契約を3日に締結。今回の買収で、業界1位で約9800店のセブン-イレブン・インクと3位のSpeedwayを加えて米国で業界トップの位置を確固たるものにする。
井阪隆一セブン&アイ社長は「当社がCVSを軸とした真のグローバルリテイラーになる大きな一歩。歴史的な統合になると感じている」と強調した。
19年度のセブン&アイグループの連結営業利益で北米CVS事業の占める割合はSpeedwayを含めると33.2%だが、45%にまで引き上げたい考えだ。
店づくりもフレッシュフードを軸に食が来店動機となる生活に欠かせない店を目指す。商品の開発体制もわらべやUSAと協力し、日本式のチームマーチャンダイジング(MD)で推進する。ダラスでの成功事例を他の地区に展開する考えだ。
ファミリーマートは伊藤忠商事のネットワークを生かして適切な事業パートナーと提携できるよう支援が得られるほか、海外の先進的な技術も導入できるようにサポートも受ける。
同社は台湾ファミリーマートを連結子会社から持分法関連会社に移し、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)と設立の合弁会社がファミリーマート保有の台湾ファミリーマートの5%相当の発行済み株式を取得する。
ローソンは今年、中国で3000店を超える規模に拡大する計画だ。2日には中国河北省唐山市に6店舗同時し、河北省に初進出した。
金匙実業有限公司傘下の金典商業連鎖管理河北有限公司と締結されたもので、河北省で多数の加盟店を展開するメガフランチャイズ契約した。さらに7月にも海南青子実業有限公司と特定エリアでフランチャイズ運営全般を担うエリアライセンス契約を結び、今年秋に海南省海口市にオープンする予定。23年までに同省で300店の出店を目指す。
建築方式も簡素化して出店拡大も急ぐ。7月31日に江蘇省南京市に通常店舗に比べて店舗面積が半分以下のプレハブ店舗を2店出店した。
プレハブ素材の活用で通常の店舗よりも建設期間が大幅に短縮でき、店舗の移動や再設置が簡単なため、従来出店が難しかった公園や建設現場、駐車場など出店の立地を広げられる。今年度中に10店舗以上のプレハブ店舗の出店を目指すという。
ミニストップの海外事業は収益回復が急務の中、新型コロナウイルスの影響で苦戦している。前期実績は営業総収入は1120億円、前年比8.2%減、営業損失8億円の営業損失を計上した。今第1四半期は新型コロナウイルスの影響でさらに苦戦を強いられている。
韓国ミニストップは政府の外出規制で客数が減少し、既存店日商は前年比8.2%減だったほか、中国の青島ミニストップ有限公司も感染リスクを低減させるために一部のファストフード商品を一時販売中止にして新規商品を積極的に投入したが、既存店は同28.1%減。ベトナムも休校措置で大学内店舗の客数が減少し、既存店は同6.9%減だった。
第1四半期の海外事業の営業総収入は250億円、前年比15.1%減、営業損失8億4800万円を計上した。