御意見番・外食ランキングを読む:榊芳生・OGMコンサルティング代表取締役社長

2003.06.02 269号 9面

日経流通新聞から恒例の前年度・外食ランキングがこのほど発表された。

今回の大きな特徴は、旧来の大手チェーンである「マクドナルド」や「KFC」「ミスタードーナツ」「ロイヤル」「デニーズ」といった洋風系の不振と対照的に、個性的なコンセプトを持ち食材や味にちょっとこだわった和食系のチェーンが大躍進していることだ。

これまでの米国から移入された洋風FFやFRのコンセプトが日本の生活者に飽きられ、新しい食事の提案が求められはじめている。和食系といっても古い型の「養老乃瀧」「村さ来」ではないし、最近まで格好良く感じられた「和民」でも「白木屋」でもない。この手のチェーンの料理はどこの店でも代わり映えしない平均的なものだ。

最近の急成長の和系の店は、食材にこだわり専門店的色彩を濃くしてお客様の支持を集めている。豆腐にこだわる「月の雫」や炭火串焼の「東方見聞録」、そして従業員のおもてなしと店の雰囲気を売りモノにする「権八」など、どのチェーンをとっても、これまでのチェーンとは異なり自店の特色を明確に打ち出してお客様を引きつけている。

さらにランキング表を細かく分析すると、上位一〇〇社は対前年一・九%の売上げ増とはいっているが、それは自らの資本力にモノをいわせ新規出店を積極化し、やっと対前年一・九%の売上げ増。既存店ベースでは大幅な売上げダウンなのだ。

「すかいらーく」では昨年度は一一・六%の店舗増なのに、売上高の方はわずか三・六%しか増やせないでいる。「吉野家」に至っては九・九%の店舗増なのに一・六%の売上げダウン。大手は力づくで新店舗を増やし売上高を落とすまいと必死なのだ。

堅実経営を目指す外食企業は、決してこの大手チェーンと同じ轍を踏んではならない。

大切なのは既存店、一店舗、一店舗を守り抜いて、しっかりと売上げを確保することが健全企業の要諦なのだ。

一方、急速成長にランキングされている話題のチェーンに、上場を目的に一年に何百店と一挙に出店をするチェーンがある。成長率トップとかベストテンに入るとフランチャイジーも集めやすくなる。このような意図を持って無理矢理に店舗数を増やしているチェーンが最近、出はじめている。

それも、上場を指南するコンサルタント会社や金融機関がコーチをし、それをあおるようなこともあると聞く。これは、まさにマネーゲームだ。その道具に、このランキング表が使われたりしたらどうなるであろう。そんな悪い予感をするのは私だけであろうか。

一年間に五〇店舗、一〇〇店舗と一挙に出店をして、今日のお客様の支持を得ることは不可能に近い。きちんと従業員を育てお客様の求めるレベルの店づくりができてこそ、私たちの飲食店は繁盛の継続が叶えられる。いくらそのチェーンの成長率が高いといっても、それだけで実力があると思ってはならない。惑わされてはならない。

これまで、この日経流通新聞のランキング発表のたびに、私は意地悪な分析をして来た。決して上位に位置する企業、店舗が大優等生、手本と考えるなと警告を発し続けて来た。このランキングはあくまでも大手チェーン店の現状の発表であって、現場レベルの良しあしではないことを十分に念頭に置いて考えてみようといいたいのだ。

私たちは常に冷静に世の中、業界の動きを分析し、判断をしなくてはならない。米国のビジネスモデルを盲信して安売りをして、自らのQHAのレベルを落としての商売は、これからは間違いなく行き詰まるということだ。

私たちは常に「本当においしい料理」を提供し「心からのおもてなし」をやり通すことによってのみ、繁盛の継続が叶えるということなのだ。決して、規模に目を奪われてはいけない。質、QHAの内容に徹底してこだわり続けることが健全な外食企業づくりの要諦なのだ。

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