外食の潮流を読む(129)青森市内で飲食トップクラスに成長 地雷也グループ小林代表33歳の展望

2026.03.02 565号 11面

 筆者は2018年8月に、青森市内で居酒屋を4店舗展開している「地雷也グループ」(W&W)の代表、小林達哉氏と知己を得た。小林氏は青森市生まれで、このとき26歳。聞くと、居酒屋を起業したのは17歳のときで、場所は仙台であったという。

 それが東日本大震災(11年3月11日)に見舞われ店が使えなくなり、心が折れて青森市内に戻る。そして青森市本町に、再び居酒屋を開店した。その後、仕切り直しで11年10月に地雷也グループの原点となる「石と肴 地雷也」をオープンした。このとき19歳。

 当時、地雷也グループの4店舗は、青森市本町にドミナント展開をしていて、いずれの店も客単価5000円前後、原価率は45%かけた。18年9月期(3店舗)の年商は2億5000万円であった。

 その後、筆者は小林氏の動向をSNSで把握するように。小林氏はコロナ禍の最中であっても、果敢にチャレンジを続けた。その勢いは衰えることなく24年9月には、青森市本町の隣町である新町に新規出店。「新町」は青森駅に近い繁華街で、その中央を通る「新町通り」は目抜き通りである。しかしながら、郊外に大型ショッピングモールができて、新町通りは次第に「シャッター通り」となっていった。

 さらに25年9月にも新町通りに出店したという(移転オープン)。「小林氏は、さぞや意気軒高であろう」と思った。そして、小林氏は「アパート賃貸業」に手を広げたという。

 新町出店と、アパート賃貸業。筆者はこの2つに興味を抱き、取材を申し込んだ。

 「新町通り」への2店舗の出店は、取引先のメーカーから紹介してもらった物件。このエリアでは、コロナが明けてから、インバウンドや県外のお客が急激に増えたとのこと。現在、地雷也グループのお客の構成は、インバウンド2割、県外5割、地元3割となっている。「東京では9000円くらいのクオリティーのものが、5000円くらいで食べられる」ということで、知名度が上がっているようだ。

 アパート賃貸業を営んでいる理由については次のように語っている。

 「その背景には、コロナ禍による長期の自粛要請がありました。飲食部門の売上げが大きく落ち込んだ中でも、ここの安定した収益が従業員の給与を確保する支えとなりました。この経験から、飲食部門と不動産事業を並行して運営する体制が、強さにつながると実感しました」。

 筆者は、ここに優れた経営者像を見た。

 小林氏は、現在33歳。地雷也グループは現在直営5店舗で、今期の年商は7億円を想定している。この規模は、青森市内の飲食業の中で「ナンバーワン」のレベルである。「新町通り」はシャッターが上がるようになって、明るさを取り戻している。ローカルで奮戦している小林氏の事業展開に、これからも注目していきたい。

 (フードフォーラム代表・千葉哲幸)

 ◆ちば・てつゆき=柴田書店「月刊食堂」、商業界「飲食店経営」の元編集長。現在、フードサービス・ジャーナリストとして、取材・執筆・セミナー活動を展開。

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