近代メニュー革新!繁盛レシピ研究所:味の大王総本店「元祖カレーラーメン」

2009.12.07 366号 20面

 北海道で“カレーラーメン”の発祥として名をはせる「味の大王総本店」(苫小牧市)。1965年の誕生当時は「ラーメンにカレーは邪道」と冷やかされたが、いまや全国からラーメンファンが集う有名店の一翼に台頭。即席麺や土産物でもブランド化されるほど脚光を浴びている。

 ラーメンとカレーは国民食の双璧だが、それだけに嗜好(しこう)性が強すぎて、一体化は難しいと叫ばれてきた。「味の大王総本店」は約45年間、親子2代にわたりその難問に挑み、研究を積み重ねてきた。

 高橋浩一2代目店主は、「味づくりに終点はない。長年の継続の上に現時点の集大成がある」と、さらなる向上に意欲的。カレーとスープの一体化を極め続ける「元祖カレーラーメン」の魅力に踏み込んだ。

 ◆営業の概況:週末500人集客 カレーラーメン注文9割

 「味の大王総本店」の立地は苫小牧市郊外の国道36号線沿い。荒れ地に見まがう閑散地帯だが、平日150~200人、週末450~500人を集客。客層は地元客・観光客半々、老若男女に偏りはなく、9割がカレーラーメンを注文するという。現在、総本店のほか、のれん分けを含め5店舗を展開。北海道には1万軒のラーメン店があり、毎年その3分の1が新陳代謝されるといわれるが、カレーラーメンの普及に比例し堅調に業績を伸ばしている。

 ◆特徴と調理:豚頭スープでコクとキレを両立 一体化はかき混ぜるのがポイント

 「元祖カレーラーメン」の魅力は、麺にからみつくカレースープの絶妙なトロミ。そして、“おふくろの味”を思わせるやさしい味わいだ。

 カレーは、十数種類のスパイスと野菜を独自配合したルーを10日間寝かせて味のカドをやわらげたもの。スープは、豚頭・鳥がら(8対2)を10時間炊き出したもの。

 「豚頭スープには豚骨特有の獣臭がなく、コクとキレが両立し、カレーの繊細な味が引き立ちます」(高橋店主)。1度に大寸胴で4頭を炊き200杯分を仕込む。

 調理方法は、(1)鍋にカレーだれ60g、スープ480mlを加えて熱し、泡立て器でよくかき混ぜ、カレースープとする。(2)モヤシをスープでボイルする。(3)カレースープを器に入れ、ゆでた中太ちぢれ麺を入れ、長ネギ、モヤシ、ワカメ、チャーシューをトッピングする。

 カレーとスープがなじむように泡立て器で根気よくかき混ぜるのがポイントだ。

 ◆発祥と展開:おふくろの味をイメージ のれん分けで室蘭の街おこしに発展

 カレーラーメンを考案したのは創業者で先代の高橋一郎氏。苫小牧駅前で大衆食堂を経営していたが、ラーメンの注文が多かったため、ラーメン店に転換。1965年、「自分の心に残っている一番おいしい食べ物を作ろう」と思い立ち、“おふくろのカレー”をイメージしてカレーラーメンを開発。東京の中華料理店で修業していた長男の浩一氏を呼び戻し現店舗に移転。代替わりして現在に至っている。

 ちなみに、カレーラーメンをご当地グルメに掲げる室蘭市のカレーラーメンも、実は「味の大王」の系統。先代がのれん分け(1971年)した「味の大王室蘭本店」が「室蘭カレーラーメンの会」の基幹店となり、「札幌=味噌」「旭川=醤油」「函館=塩」に続く第4勢力「室蘭=カレー」を目指し地域の活性化に取り組んでいる。室蘭本店からの孫のれん分けは4店舗。

 また、苫小牧市内には「味噌カレーラーメン」を出す店も多い。こちらの発祥は1967年、市内を拠点に4店舗を展開する「満龍」グループとされている。

 ●味の大王総本店

 経営=(有)味の大王/店舗所在地=北海道苫小牧市植苗138-3/坪数・席数=60坪・66席/客単価=880円/営業時間=午前11時~午後9時、無休

 ●エバラで再現!模擬レシピ

 ■作り方

 「スープカレーラーメンスープ」(75g)を480mlのがらスープで割り、かき混ぜながら加熱をして水溶き片栗粉(片栗粉5g・水同量)を入れながらとろみをつけてカレースープとする。あとは味の大王のレシピと同じ。

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 「とても完成度が高い商品。正直、驚きました。水溶き片栗粉でトロミを付ければ、当店の味にかなり近づきます。本品を使って、さらにカレーラーメンを普及させてほしいですね」と高橋店主

 ◆使用食材:エバラ食品工業「スープカレーラーメンスープ」

 鶏がら、豚がらスープをベースに、まろやかなトマトの酸味 芳しいバジルの風味を加えたスープカレータイプのラーメンスープ。二十数種の香辛料がバランスよく香る逸品。

 規格=1kg(約18人前)

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