長野・山梨地区夏季特集

総合 2019.08.21

 長引いた梅雨から一転、厳しい残暑が続く長野、山梨両県。初夏の天候不順が夏場の季節需要の立ち上がりに響き、熱気は地域の食品市場に及んでいない。地域が誇る豊富な果実・野菜も、日照不足の影響などで生育に遅れが出ている。
 地域の食品市場は、人口減少に少子高齢化、オーバーストアの加速で消費・市場基盤の弱体化が進む。「デフレ脱却」のフレーズが聞こえなくなったのは、あきらめムードの裏打ちか。製造・仕入れコストの上昇で、収益環境は悪化の一途をたどり、製造や営業、店頭などあらゆる現場で人手不足が加速。こちらは明けない梅雨寒に悩まされている。
 本紙が甲信エリアの食品メーカー、食品卸、食品小売業、外食業を対象に今夏行った調査によると、現在の景況感は「停滞」と答えた企業が半数近くを占めるなど、停滞ムードが漂う。
 「健康長寿」や「健康寿命日本一」で知られ、果実・野菜原料に恵まれた両県の食品業界は、「健康訴求」や地産原料を使った商品、サービスなどの高付加価値化戦略で、新たな市場、チャネルの開拓を狙う。
 山々に囲まれた立地からローカル色が強かった小売マーケットも、新幹線や高速道路など交通インフラ整備で隣接エリアや大都市圏との時間距離を急速に縮めながら、オープンマーケットに変わりつつある。加速する環境変化と市場基盤の揺らぎに、どう一手を打つのか。各社に今年前半戦の業況を聞きながら、攻勢への手掛りを探った。(長野支局長=西澤貴寛)