冬季東北流通特集

小売 2019.12.09

 ●価格競争も過熱、デフレ再燃を懸念
 クリスマス、年末年始といった年間最大の商戦を目前に、東北小売業界も総力戦で臨もうとしている。ハレの場に品揃えの豊富さと安さを訴えるのが例年のこと。しかし今年は10月1日からの消費増税に伴う負担軽減といったキャッシュレスポイント還元事業が始まり、様相が異なっている。競合店に比べ当社はもっと安いということだけではなく、カード会員へはキャッシュレスポイント還元、チャージ機限定プレミアムチャージ、CVSでは2%即引き–などあれこれ。現金買い物客へもスタンプカードのキャンペーンなど、さまざまな特典が連日チラシをにぎわしている。官主導で始まった事業だが、東北は圧倒的に現金派が多く、その訴求に手を抜くわけにはいかない。
 「公正・公平な観点から強い懸念がある。官主導の過度な値引き競争でデフレが再燃する」と還元なしの小売業は全国各地で不満の声を上げたものの、尻すぼみに。本当に個人消費の下支えや中小小売業支援となるのか、当然メーカー、卸へのしわ寄せも生じてこよう。国は2798億円の予算を計上していたが、増え続けるポイント還元で膨らんでいき追加計上する。東北有力SMの上期業績と増税後の対応などについてまとめた。(東北支局長=三沢篤)