冬季東北流通特集

小売 2020.12.25

 ●小商圏へ新フォーマットの店づくり
 コロナ禍でSMの多くは業績を伸ばしてきている。東北地区も伸びをキープしてきた。東北地域百貨店・スーパー販売額動向から今年を振り返ると、既存店ベース(前年比)でも3、4月は0.4%減だったが、5月2.3%増、6月2.1%増、7月0.8%増、8月前年並み、9月4.6%増、10月4.9%増で推移している。8月はお盆の帰省が大きく減少したことによるもの。全国で見ると1月、9月が減少しただけで、他の月は全て前年を上回った。東北は、感染発生が遅く、通常の買い物行動がとられていたことが反映。
 昨年10月からはキャッシュレスポイント還元で対象事業者、対象外それぞれが激しいセールを展開し、不平等感が残ったのも否めない事実であろう。6月の期限終了以降どのような販売施策を打ち出したらいいのか。消費低迷、デフレの進行など案じられていた。そこにコロナの発生だ。売場は品切れ、販売個数制限など予想もしなかった事態が発生した。東北のSMは大都市圏と売上げ伸びでは4、5ポイント差があったものの、売上げ、利益を確保し、業績が低迷した企業はまさにコロナ特需になったはず。キャッシュフローの余力で既存店活性化をはじめ、ちゅうちょしていた分野への投資が可能となった。
 しかし新年度は高い実績が残され、予測がつかないコロナ禍で厳しい事業展開が予測される。今特集では有力SMトップの考え、新フォーマットでの店づくり、都市型小型店への取組みなどを取材した。(東北支局長=三沢篤)