秋冬の最需要期を迎えた清酒業界。コロナ禍3年目を迎え、家飲み需要は昨年までの反動で減少しているものの、苦戦が続いていた業務用市場は回復してきた。一部メーカーでは、自社サーバーへの不正アクセス事案が発生し、セキュリティーの厳格化など対応に追われた。原材料費などの高騰を受け多くの酒造メーカーは10月から商品価格の値上げを実施したが、駆け込み需要の影響で9月の実績は好調に推移した。政府の観光促進策「全国旅行支援」がスタートし、各地の観光地ではにぎわいを見せており、業務用市場には追い風となっている。外国人の入国制限が緩和され、コロナ禍で「蒸発」したインバウンド需要への取組みも欠かせない。酒類間競争は激しさを増している。清酒メーカー各社は、新規ユーザーの清酒飲用に向けたアプローチを図っている。（藤林敏治）