チョコレート特集

菓子 2022.12.05
チョコレート特集

 コロナ禍の影響でチョコレートの生産数量が、前年比2.1%減の24万3870t、生産金額は3870億円で同2.8%減、小売金額が5470億円で同2.8%減と苦戦を強いられたチョコレート市場だが21年は復調傾向、市場規模は5520億円で同0.9%増となったコロナ禍前の水準まで回復していない。22年は市場回復への期待がかかるが、記録的な猛暑とそれに続く残暑が復調の足取りを鈍らせた。さらに原材料価格高騰やエネルギー価格、物流費上昇に伴い、メーカー各社は、価格改定を実施。長引くデフレで、いわゆる棒上げはメーカー各社にとっても長らく経験したことのない事態だった。値上げ後の状況は、新しい価格が売場に浸透し平均単価は上昇傾向となり、これまでいくつかのメーカーが単独で挑戦し、売場から排除されるという事態は当然発生しなかった。一方、店頭販売データによる価格改定商品の動向は、アイテム、メーカーにより差はあるものの、前年比で10~30%減と厳しい状況となった。
 菓子は、嗜好(しこう)品で、買い物の最後に購入することが多く、食品業界全体に及ぶ値上げの中で影響を受けた可能性が高い。このことは、健康に資する習慣化という喫食傾向を持つ健康系チョコが、価格改定後も堅調に推移していることからも推察される。3年目のコロナ禍の中、メーカー各社は大型の新商品などの投入はほぼなく、冒険を控え、ロングセラーブランドを中心とした商品構成で需要拡大を狙う。(青柳英明)